こんにちは。
今日は、山田ユギ先生の『完全版 誰にも愛されない』上巻をご紹介します。オリジナルは2007年に発売され、この新装版は2013年に上下巻として再リリースされました。
本にまつわるお話なので、本好きな方は読まれてみてはいかがでしょうか。
作品データ
完全版 誰にも愛されない 上巻 飯島 x 日下編
山田ユギ Yugi Yamada
刊行年月:2013年03月31日
出版社:竹書房(Bamboo comics)
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どんな作品?
山田ユギ先生が2007年にリブレ出版からリリースされた単行本の再編集。連載は2003年から始まったお話です。
本にまつわるお話なので、好きな方も多いのではないでしょうか。
出版社の営業である飯島は、チェコ語の翻訳者を探していたある日、偶然大学の同級生である日下(くさか)と再会します。5年ほど疎遠にしていた二人はある事情があるのですが、仕事を通して二人は徐々に距離を近づけていくお話です。
日下はチェコに留学していたこともあり、翻訳の仕事も引き受けることになるのですが、普段は古書店を経営しています。
古書店、古本屋さんはめっきり少なくなってしまいましたねぇ。大学の周りには少しあるかもしれませんが……。
山田ユギ先生の作品らしく、主人公二人の恋愛はもちろんのこと、しっかりと仕事の描写が組み込まれているため、リアリティのあるお話になっています。翻訳、そして古書店という設定を活かした仕事のあれこれが適度に描かれていて、最後まで飽きずに楽しめます。
この1冊には、雑誌『MAGAZINE BE x BOY』2003年4月号、2004年4, 12月号、2005年10, 11月号、2006年6月号に掲載されたもの、そして描き下ろしが収録されています。
2007年のリブレからの初版は1冊完結でしたが、こちらの完全版は上下巻に分かれています。上巻は飯島x日下編、下巻は長谷川x上野編となっており、下巻には加筆されております。
今回は上巻をご紹介します。
カップリング
攻め:飯島(出版社の営業をしている)
受け:日下(古書店を経営しながら、翻訳などを手掛ける)
上巻のあらすじ
出版社で営業をしている飯島は、チェコ語の翻訳者を探していた。たまたま見つけた若い翻訳者・日下は、実は大学の同級生。
大学卒業後は疎遠だった二人だが、仕事を介して昔の思い出が蘇る。日下は女子に人気があり、飯島が好きだった女の子も彼に気が合った。そしてそれがきっかけで二人は疎遠になったのだがーーー。
山田ユギ先生『誰にも愛されない』上巻:ネタバレ!?感想レビュー
シリアスなラブのお話ですが、コミカルな描写を挟んで緩急ある流れになっています。

作品の魅力1:日下(くさか)
祖父との関係
日下がチェコに興味を持ったきっかけは、彼の幼少期が反映されているのかもしれません。
日下は子供の頃からよく祖父の書斎で過ごしていました。自分の両親、特に母方の親戚とは波長が合わず、唯一祖父となら一緒にいても苦にならなかった。
そんなある日、祖父の書斎に立ち寄った若い学生……。
彼が借りて行った本が、まさにチェコ語の本でした。
祖父とこの若い学生はもしかして……なんてチラッと思わせぶりなモノローグを挟みつつ、物語はすぐに飯島と日下のお話になります。こういう思わせぶりも、読者の妄想を刺激しますね。
冒頭のあまり関係のないようなプロローグなんですが、日下と祖父の関係、そして日下がどうやってチェコ語に興味を持っていくかにさりげなく繋がっていきます。
飯島との関係

飯島とは、大学時代の同級生でした。
女性に興味はないのに、周りから人気のあった日下は、飯島が想いを寄せていた女性から告白されます。しかし、そのことがきっかけで、飯島と諍いを起こし、大学卒業後は疎遠に。
当時の二人の気持ちは、直接的には描かれておりません。読者にはわかるように描かれてはいるのだけど、程よく曖昧さを匂わせています。
ユギ先生の作品は、モノローグで内面を描写することもありますが、表情(特に目)、そしてさりげないコマで少し余白を残しながら物語が綴られます。読者にも自由を委ねる作りです。読者各々が考察しながら楽しめます。
ある意味、挑発的であり、また読者が自在に物語を肉付けすることもできます。だから、先生の物語は蠱惑的なもの。
物語の視点は、エピソードごとに変わります。
飯島の視点で描かれた再会、そして再会して一度肌を合わせた後、視点は日下へ。
エピソードを読むごとに二人の関係が近づき、そして仕事も進んでいく。また、問題(主に日下の)も解決していきます。
日下のあれこれ

日下は、昔から女性に興味がありませんでした。が、とてもモテます。
飯島と疎遠になったきっかけも、それでした。
大学時代に飯島が好きだった女性は、日下のことが好きで、諍いを起こします。日下は家庭環境からか、どこか冷たい性格で、人間関係にもあまり興味はなかったのですが、飯島だけは違った。
二人は再会し、徐々に関係が近づいていくのですが、日下は人と付き合ったことがないため、付き合い方をゆっくりと学んでいきます。
日下の少し冷めた性格、そして人にあまり興味がないところは、出入りしていた書斎の持ち主である祖父に似ているようで、その他の家族や親戚とはあまり馬が合わなかったようです。そんな彼の背景も、性格にしっかりと現れています。
日下に比べて、飯島の過去のエピソードは少なめですが、その代わり、彼は仕事をします。w
感情豊かな飯島。少し冷めた日下と対照的で、この二人が体を重ねると、熱量が強調されますね。
下巻の主人公となる長谷川も登場します。
長谷川も出版社に勤めていますが、日下のチェコ留学時代のルームメイト。日下の数少ない友人の一人です。当然、飯島はジェラシーを感じるのですが。😊
ユギ先生は短編から始まり、少しずつ長編も描かれるようになっていきましたが、短編も長編もどちらも安定して面白のがすごいです。
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まとめ
今回は、山田ユギ先生の2007年作品の完全版として2013年にリリースされた『誰にも愛されない』上巻をご紹介しました。古本屋を経営?しながら翻訳業をこなす日下と出版営業の飯島。このシチュエーションに惹かれる方は、ぜひ読まれてみてはいかがでしょうか。
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