こんにちは。
今日は、山田ユギ先生の2003年作品『夢が叶う12月』をご紹介します。
短編集です。古い作品のため、絵柄には少しレトロ感がありますが、お話は相変わらず濃厚で、短編ながらもしっかりと感情が詰め込まれた良作。面白かったです。
作品データ
夢が叶う12月 The miracles of Christmas
山田ユギ Yugi Yamada
刊行年月:2003年01月16日
出版社:竹書房(BAMBOO comics)
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どんな作品?
山田ユギ先生の麗人から2冊目のコミックス。短編集。
2000年から2002年までに雑誌に掲載された短編がまとまっています。
久しぶりに2000年初期の作品を読みましたが、この頃の作品はやっぱり濃厚で、内容のある作品が多く、読み応えがあります。
ユギ先生の作品に限らず、BL作品はもともと1巻完結ものがほとんどだったかと思います。それに、決してハピエンだけではなく、切なく終わる物語も時々あって、恋愛は全て叶ったり、成就するものではない現実も見せてくれるお話にリアリティを感じます。
この1冊には、ユギ先生の作品によく登場する角刈りのバーのママも登場します。Barピーチパイのママということで、短編長編にかかわらず、ユギ先生の作品に登場するキャラの一人です。
一番最初に登場した作品ってどれに当たるのでしょうかね……。😊
山田ユギ先生『夢が叶う12月』:ネタバレ!?感想レビュー

ストーリー1:ラブ・ストリームス
初出:麗人2001年3月号
ある日、2年ほど音沙汰のなかった弟が実家に帰ってきます。兄の太一はそんな弟の憲二に愛想を尽かしながらもチャーハンを作ってやる優しいやつ。
会社では、社内で人気の同僚・篠と仲がいい。太一が不倫をしている事実も篠だけが知っています。太一がいつも好きになる相手は、どこか母親のように包容力のある女性ばかり。亡くなった母親が恋しいのだろうか。それとも自分は何かから逃げているのか……。
太一のマザコン気質はもとい、弟のことは篠にも言えずにいたのだけど、ひょんなことから太一は篠とそういう関係になってしまいます。
複雑な心情と事実が描かれた短編。
お話はきれいにまとまっていますが、ピーチパイのままも登場していますし、やはりコミカルなテイストで描かれており、決してシリアスになりすぎず、あくまでエンタメとして楽しんでほしいというユギ先生の計らいがあるのかなと思います。
ストーリー2:さすらい

初出:麗人2001年9月号
出版業で働く久保と落合。偶然二丁目で知り合って以来、関係を続けていた。でも久保のタイプは違う。落合のようなおっさんではなく、大人しくてきれい顔の……そう、落合の元でバイトを始めた松田くんのような……。
松田やデザイナーの小川のような自分の好みを追いかけながらも、落合との関係を立ちきれない久保のお話です。
恋愛ゲームは、無理ゲーの相手を追いかけることを幸せに感じる久保だけど、うまくいったその後は?恋愛ゲームと、好きという気持ちと、自分の内面を見つめ直すことになった久保のお話。
読み切りでも1ページアップで魅せてくれるのがうれしい。
ストーリー3:とまどい

初出:麗人2002年11月号
前のお話と少しだけつながっています。落合&松田が担当している『週刊ヨンデー』で連載している漫画家の藤井とそのアシスタント・河本。原稿を取りにやってきた落合と松田を見て、藤井先生は松田に一目惚れする。そして河本は高校が一緒だった松田と再会する。
直接的な恋物語ではありませんが、河本の仄かな感情をコミカルに描いた短編です。
全てにお話で大きな出来事が起こるのではなく、かといって、まったくオチのない話でもなく。やっぱり漫画である以上、この作品のような程よい落としどころがあると、読みやすい。
もちろん、BL要素を含んでいれば、なお良き。w
ストーリー4:なぐり愛20years

初出:小説June2000年3月号
8ページのコメディショート。
楽しく読み終わって8ページだということに気づきました。極端にいえば、1枚絵でもメッセージは伝えられるけれども、数ページでコンパクトにまとめて笑わせてもらえる幸せ…… ❤️
ストーリー5:なぐり愛2000
初出:小説June2000年9月号
8ページショート、再び。
いや、笑った。笑ったけれども、この二人は生まれてこの方何のライバルなのか。w
ストーリー6:リフレイン

初出:小説June2000年11、12月号
脇キャラながらもピーチパイのママの存在感、発動!
フリーのデザイナー・竹内と、新人入社・杉尾のお話。二人とも札幌出身という設定で、すぐに打ち解ける二人。竹内は同い年の杉尾にどこか懐かしさと可愛さを感じながら、体を重ねていきます。
そんなある日、家庭の事情で札幌に帰省した杉尾。竹内は自分がなぜ札幌を出てきたのか、そして長らく実家に帰っていないのかを思い起こしながら、学生時代の出来事に思いを馳せては、杉尾を恋しく思うのですが、お話はそこから杉尾の家族の問題にシフトしていきます。
このお話もハッピーエンドではないですが、竹内と杉尾の思いが交差する瞬間を切り取った興味深いお話。人間の理不尽な感情や関係が描かれた作品。
ありえない関係なのに、どこか共感できてしまうのは、やはり人間とは頭でわかっていてもその通りに動いてくれない抑えられない感情があるのだからではないかな、と思います。
ストーリー7:漂流ときりきり舞い

初出:Guilty2001 vol.2
20ページほどの短編ですが、また唸ってしまった……
アラサーのリーマンは、社長の奥さんとの浮気現場をその息子に目撃された。一回り年下のこの息子は、口止め料に体の関係を要求してきた。そんな不思議な関係からスタートした二人の関係は、毎月1度、食事を楽しんでは体を重ねる関係。
女性という二人を隔てるものがなくなったとき、二人の関係はどう変化するのか。
ぜひ本編でご確認ください。
ストーリー8:夢が叶う12月

初出:麗人2001年1月号
コンビニでバイトする3人の男の子のお話。同性が好きな荒井、そしてそれを知っても普通に接している山本。そんな二人に挟まれてバイトをする語り部の男の子(モブにより、名前はなし w)。山本に気持ちがありながらも伝えることのなかった荒井だったが、クリスマス間近、山本に彼女ができたことがきっかけで仲違いをします。
語り部のモブの男の子はいいやつなのだけど、名無しというのもユギ先生らしい w
最後の最後まで笑わせてくれる短編集でした。
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まとめ
今回は、少し長くなりましたが、山田ユギ先生の短編集『夢が叶う12月』をご紹介しました。
2003年発刊の作品ですので、イラストも少しレトロ感は感じますが、可愛さや色気は健在で、楽しめると思います。物語の作り方も、当時許されたコンプラ前提ではありますが、やはり秀逸で、読みながらもずっと唸ってばかりです。
少し重いお話もコミカルに締めるのも、物語の世界から現実に引き戻してくれるので、あくまでもエンタメとして楽しめる1冊となっていました。
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