こんにちは。
今日は、青井秋先生の『緑の風に君をひらく』をご紹介します。
今まで読んできた青井先生のBL作品でも読みやすく、素敵な作品でした。相変わらずの見事なイラストとモチーフなどが堪能できます。
作品データ
緑の風に君をひらく
青井秋 Aki Aoi
刊行年月:2025年03月10日
出版社:リブレ出版(BE BOY comics)
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どんな作品?
青井秋先生の2025年作品。1巻完結。
いつもは自然xファンタジー系の優しい作品を描かれる先生ですが、この作品は優しい中にもちゃんとBL要素を入れてくれました。筋肉、ウソつかない。w
若い庭師・錦木が師匠と共に仕事を手掛けることになったお屋敷。そこに住んでいる家主である倉岡は、児童小説家。たまたま巡り合わせたこの出会いが、お互いを予想していなかった方向に進んでいきます。
この小説家が住んでいるお屋敷にはしっかりとしたお庭があるのですが、モノクロのイラストからも緑が生い茂った立派な木々や植物が想像できます。葉音や微風、そして鳥の鳴き声が次々と聞こえてくるのは、青井先生の洗練されたイラストの威力。
青井先生の作品は4冊ほど拝読しましたが、唯一無二な空気感があり、十分堪能できますが、お話がものすごく静かで、詩的でファンタジーなものが多かったです。でも、今回のお話は、より現実的で地に足がついたお話。
大きな事件は起こりませんが、主人公二人の会話がとても自然で、読者にもわかりやすく描かれているため、ストレートに二人の感情が頭に入ってきます。また、ライトではありますがBLとしてもしっかりと心情描写が描かれています。
雑誌『MAGAZINE BExBOY』2024年3, 5, 7, 9, 11月号、2025年1月号に掲載された6話、そして描き下ろしのショートが収録されています。
カップリング
攻め:錦木俊(若手庭師。筋肉は嘘をつかない!)
受け:倉岡荘司(児童小説家。人間関係が少し苦手。錦木との距離感を模索します)
あらすじ
若い庭師の錦木は、立派な庭のある屋敷の手入れをすることに。一番立派な木を抜根してほしいという家主・倉岡に驚き、少しずつ会話をするようになる。庭にやってくる鳥の習性、どんな風に庭を手入れしていくか……。
錦木は倉岡が書く児童小説が気になり、読んでみると、そこに描かれた人物、そしてそれを書いた倉岡をもっと知りたくなった。
ポツポツとした会話から、たまに食事もするようになった頃、錦木は自分の気持ちの変化に気づく。しかし、倉岡の態度が急変しーーー。
青井秋先生『緑の風に君をひらく』:ネタバレ!?感想・レビュー
青井秋先生のBL作品は、できる限り読んでいますが、多くの作品は詩的なファンタジー。
青井先生にしか描けない空気感が漂う作品が多く、いつも雰囲気を楽しんでいましたが、この作品は、それだけではなく、しっかりとしたBL作品としても楽しめました。
作品の魅力1:優しい心情描写

今までの青井先生の作品は、BLではあるのですが、描かれる感情は淡く、フィリアのようなものが多く感じました。でも、今回はしっかりと万人にもわかりやすい(!)恋心を描いてくれた。しかも、青井先生の空気感で。
庭師である錦木、そして人付き合いが苦手な小説家・倉岡の二人の心情の揺れが分かりやすくも繊細に描かれていて、ゆっくりと物語を追うごとに二人の感情がリアルに感じられます。
まさかのマッスルボーイ・錦木

若手庭師の錦木。
師匠について、立派な屋敷の庭で仕事をすることに興奮する錦木。
庭師としての植物に関する知識などは、倉岡との会話を通して読者に伝えてくれます。
ヤマガラ(鳥)の習性や庭の手入れの仕方、桑の実のジャム……。くるみの樹皮を使ってインク作りなども見せてくれます。
そんな錦木のBL的みどころは、筋肉!w
物語の初めはそれほど気にしていませんでしたが、ある時のシャツを脱いだワンショット。これにやられた。w 先生、ありがとうございます!
そして、そんな錦木は、倉岡と交流を深めていくにつれて、自分が彼に好意を持っていることに気づきます。
それまでは、思っていたことを素直に言葉に出す性格の彼も、もっと倉岡に会いたいと思う気持ちを隠そうと、どこか後ろめたさがある。そんな心理描写が描かれています。
二人は会話を通して距離感を縮めていくのも素敵ですが、錦木が倉岡の本(創作物)に触れ、もっと彼を知りたいという気持ちに駆られる。
それはまさに私たち読者が青井先生のことをもっと知りたいな、インタビューはないかな、と探したくなる気持ちに似ているかも。w
孤独の小説家・倉岡

倉岡は、常に一人で物語を書くこともあり、人付き合いが苦手です。
必要最低限の会話以外はあまり積極的に会話をしない倉岡でしたが、ひょんなことから錦木と会話をするようになり、たまにご飯を食べるほどの距離感になっていきます。
倉岡がこの屋敷に移り住んだのには、理由がありました。
この屋敷は倉岡の実家で、倉岡の父が手塩に掛けた庭があります。
倉岡は、幼少時代から父親に気にかけて欲しかった。しかし、父親は庭の世話に忙しく、自分のことはかまってもらえなかった。倉岡はそう感じていました。
自分の居場所をみつけるように物語を書くようになり、作家となったようです。
実家であるこの屋敷に引っ越してきたのは、子供の時に見つけられなかった自分の居場所を、ここに探ろうとしたのでしょうか。
たまたま知り合った錦木との会話から、知らなかった庭の木々の名前を知り、風の音、葉擦れ、そして庭にやってくる鳥たちに気づいていく倉岡。
大好きな父親が庭に奪われたようで好きになれなかった場所が、少しずつ知って、そして気づきがあり、父親との繋がりや自分の存在意味を見出していきます。
錦木、そして倉岡それぞれの思いや葛藤が、仄かに生じた好意を恋へと導いてくれます。
作品の魅力2:自然を紡ぐ

青井秋先生の作品らしく、植物のイラスト・モチーフがたくさん使われています。
屋敷の外のシーンでは、木々がコマを囲むようにページいっぱいに広がっており、モノクロのはずのページも緑が生茂るカラーのように錯覚します。
個人的には、ヤマガラの情報がとても面白かったです。
私が住んでいるところでも、ヤマガラをたまに見かけるのですが、かわいいなくらいにしか思っていませんでした。名前を知ったり、ちょっとした豆知識を知るだけで、今まで見ていなかった自然が急に見えるようになってきますね。
自然との細やかなつながりを感じます。
美しいもの、唯一無二なものが、これだけ目の前に広がっているのだと、感じさせてくれます。
作品の魅了3:装丁デザイン

本の装丁デザインは、大抵表紙のスリーブなどにデザイナー情報が表記されているのですが、この作品にはなかったため、先生ご自身が手掛けたのだと思います。
カリグラフィーでよく使われる模様や、昔ながらに西洋アート、デザインで使われてきた模様に手を加え、ノスタルジックながらも新鮮なページデザインが作品全体に広がっています。
倉岡は小説家ということですが、手書き小説家ですので、文房具が好きな方にもちらほらと面白い描写もあり。ぜひ本編でご確認ください。青井先生が大好きなことが詰め込まれた作品ではないでしょうか。
作品の魅力4:ライトBL
青井先生の作品は、非常に淡いBL作品が多いのですが、この作品はしっかりとBL作品になっていました。といっても、絡みがあるわけではありません。あくまで仄かな恋心です。
でも、わかりやすく書いてくださったり、マッスル庭師にしてくださったのも、もしかしたらファンサービスかもしれません。w いや、先生の萌えか!?
この作品は、少なくても私が今までに読んだ青井作品の中では一番BLっぽく、かつリアリティあるお話で今までで一番(BLとして)楽しめた作品となりました。
青井秋先生『緑の風に君をひらく』を今すぐ読む方法
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まとめ
今回は、青井秋先生の『緑の風にきみをひらく』をご紹介しました。
これから青井先生の作品を読まれる方には、この作品をオススメします。お好みに合えば、他作品でも先生の唯一無二の空気感を楽しむことができます。
青井先生は、漫画も描かれていますが、イラストレーターとしてもご活躍されており、漫画以外のデザインやご自分でモノづくりなどもされていらっしゃるようです。これからも素敵な創作を楽しみにしております。
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