こんにちは。
今回は、三つ葉優雨先生の『僕と魔女についての備忘録』をご紹介します。
一般漫画や真面目な図書もそこそこ読んでいるものの、このブログでは書かずにおりましたが、この物語については、自分なりにどこかで書き記しておきたいなと思い、今回おしゃべりさせていただくことにしました。
作品データ
僕と魔女についての備忘録 1巻
三つ葉優雨 Yuu Mitsuha
刊行年月:2023年3月29日
出版社:小学館(フラワーコミックススペシャル)
どんな作品?
三つ葉優雨先生の人気作品。全5巻で、完結しております。
100年以上生きている魔女と、2歳の時に森の中で魔女に拾われた男の子の恋物語。
可愛らしいファンタジックなお話の中に、人間のダークな部分や色恋、そして人生における駆け引きや教訓などが盛り込まれている魅力的な作品です。
絵柄がかわいしく、世界観もしっかりと丁寧に書き込まれており、三つ葉先生のコメントと共に読むと、先生がご自身の中に温めてきた「好きなもの・描きたいもの」を手作業で、ご自分の手でじっくりと描かれたんだな、と理解できます。
プロのアーティストさんは、その時創作しているものがベストだと信じて作業をされている人が多いと思いますが、この作品もまさにそれなのではないかと思います。
漫画家さんとして、三つ葉さんは今後も素敵な作品を描かれていくのだろうけど、この物語は、先生にとっても、読者にとっても特別な作品になるのではないかと思います。
1冊のページ数はそれほど多くないのに、コマの丁寧さからビジュアルのインパクトが強く、三つ葉先生独特の「間」も魅力的です。
1巻には、電子雑誌『ベツフラ』2020年1, 3, 5, 7, 9号に配信された5話、そして先生によるあとがきやコメントが収録されております。
物語自体は2020年に連載をスタートしておりましたが、2023年、無事に紙本にてリリースとなりました。
登場人物
魔女さん(年齢不詳ですが、100歳以上。鴇森(ときもり)という街に住んでいる)
渉(わたる:坊と呼ばれる。2歳の時に魔女さんに拾われた人間)
蛍(黒猫。こちらも年齢不詳だが、先代も知っているので、長生き)
1巻のあらすじ
親に捨てられた渉(わたる)は、2歳の時、親に捨てられ、迷い込んでしまった森に住んでいた魔女さんに拾われた。
魔女さん、そして黒猫の蛍に育てられ、おかげで今は文字も読めるし料理もできるようになった。
そんな渉は、幼い頃から魔女さんに恋をしていた。でも、渉は子供で、魔女さんは100歳以上。どうやってこの差を埋められるだろうか……。
三つ葉優雨先生『僕と魔女についての備忘録』1巻:ネタバレ!?感想・レビュー
作品の魅力1:世界観
魔女のお話で、魔女さん(渉がそう呼ぶ)は森に住んでいます。
このストーリーがしっかりと描かれたのは、先生が創り出したビジュアル的な背景もあるのだと思います。
魔女は、何百年と生きる設定で、猫の蛍も長生き。1巻では、魔女さんが何歳かは具体的に書いておりませんでしたが、100年以上生きている設定です。猫の蛍は先代のことも知っています。
彼らが住んでいる森にある家は、三つ葉先生がプロの設計士の方と特別にデザインしたものらしく、こだわりと徹底した世界観が入念に詰め込まれています。
生活空間であるキッチンなどはもちろんのこと、先代の蔵書が並ぶ書斎なども登場します。本棚にずらりと並んだ蔵書を見ると、どんな本があるかな、自分ならどんな本をコレクションにするかな、などと、妄想が膨らみますね。
漫画の一コマとして描かれているだけなので、写真で見るようにはっきりしていないのも、逆にいいのです。ちょっと描写されるだけで自分の妄想癖が刺激される方が、ワクワク度が上がります。
魔女さんは、どうやらぐうたらで、他の魔女仲間との交流はあまりないようです。が、1巻では渉を連れてパーティーに出かけて行きます。
ここで、他の魔女たちの様子や、魔界のいざこざやしがらみ(人間界だけでなく魔女の間でもあります)、そして魔女さんについても少しずつ見えてきます。
キャラはあれこれ登場しますが、はっきりとしたディテールは見せず、おとぎ話のようにふわっと描写して、お話は次のシーンに進むのも特徴です。
作品の魅力2:イラスト
三つ葉優雨先生のイラストは、とにかく素敵です。
可愛らしさもあり、色気もある。
少女漫画のイラストで、丁寧に描かれています。
目の描写、そして口元が特徴的ですが、子供の生き生きとした渉の表情には圧巻で、彼の息遣いが聞こえてきます。
じっと魔女さんを観察する渉の眼力も、子供ながらに素敵ですね。
私が少女漫画を好きな理由の一つは、目力なんじゃないかと思います。
青年漫画の眼力のそれとは、違うんです。
どちらも眼力はあるのですが、やはり少女漫画の好きなイラストには、より魂を感じます。
作品の魅力3:子供という存在
1巻の渉は、10、11歳の頃が描かれいます
渉の成長を見届けることになる読者には、今後、子供らしい渉から青年、そして大人の男性になっていく過程を見せてくれるのだと思います。
見かけは坊ですが、渉の内面はかなり「大人」に描かれています。
そこが魅力であり、どこかファンタジー(フィクション)でもある。
渉は2歳の時に、森に住んでいる魔女さんに拾われた、という設定です。
魔女さんと蛍に育てられました。
文字も読め、会話もまるで大人のよう。
物語の中では、ある程度都合が良いのですが、昨今の日本の子供達の様子がチラッと窺えます。
成長を急ぐ子供たち。成長を急がせられる子供たち。
感覚(instinct)で生きる子供という存在が、早い段階で大人のような言葉を話し、作られたものから吸収した情報で形成されていく。これを成長と言うのでしょうが。
子供の脳はスポンジのようで、吸収力に驚かされますが、だからこそ、自然(予測のできないもの、常に変化するもの)と接することで、生き延びる力が養われていくのかなと思います。
渉は、どこか他の子供たちに比べて大人な部分はあります。でも、予測のできない事柄に対しても、解決策を見出そうとします。
クラスの数人とうまくいっていません。彼らにどうやって自分の気持ちを伝えよう。どうやってわかってもらおうか。自分なりに試行錯誤する描写は、まさにそれかなと思います。
三つ葉優雨先生『僕と魔女についての備忘録』を今すぐ読む方法
三つ葉優雨先生『僕と魔女についての備忘録』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
どちらのサイトでもすぐにサンプルを読むことができます。
私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。最近は「BookLive」もオススメです。
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電子書籍でも十分に作品を楽しめますが、この作品は紙本で取っておきたくなるんじゃないかなぁと思います。
まとめ
今回は、三つ葉優雨先生の『僕と魔女についての備忘録』1巻をご紹介しました。この作品は全5巻のシリーズで、すでに完結しております。女性はもちろんですが、男性読者はこの作品をどう感じるか、興味あります。読まれる際は、一気読みをオススメします。
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