こんにちは。
今日は、絵津鼓先生の『SUPER NATURAL』を読んだので、ご紹介します。シリーズで全2巻ですが、今日は1巻をご紹介します。
まだ絵津鼓先生が可愛らしい絵を描かれている頃のお話ですが、登場人物も多めで、楽しく、また内容盛り沢山の作品ですよ。
作品データ
SUPER NATURAL
絵津鼓
刊行年月:2015年12月10日
出版社:プランタン出版(Canna Comics)
どんな作品?
美容専門学校を舞台にした学生モノ。
美容師になるため、熱心に学業に取り組む大地と、今ひとつ学業にはのめり込めないが、大地にはのめりこんでいる w 暢(のぶる)の物語。
どちらもノンケのはずなのだけど、いつの間にか好きなのではないかという気持ちになり、そんな不安やジェラシーなどをどうやって対処して前に進んでいくかが描かれています。
絵津鼓先生の作品はシリアスタッチなものもありますが、これは少しコメディチックに描かれており、また絵柄もかわいらしいので、比較的ほのぼの楽しく読むことができます。
絵柄はキャラにまだ子供っぽさのある可愛らしい絵柄です。学生ものということで、クラスメイトたちとのやりとりもしっかりとあり、リアリティある学生生活が描かれていて、漫画としてのクオリティが高いです。
BL雑誌『Canna』vol. 38 (2014/10/22) から vol. 43 (2015/8/22) まで隔月で連載されたお話がまとまっています。全2巻のシリーズですが、1巻は学生編です。1巻完結スタイルなので、この1巻だけでも十分に楽しめます。でも読むと、絶対続きも読みたくなること間違いなし w
カップリング
攻め:暢(のぶる:根はいいやつ。ほんと、いいやつ。)
受け:大地(がんばり屋さん。それがたまに負担になってしまうことも。)
あらすじ
美容専門学校に通う大地と暢(のぶる)。
大地は成績優秀で、フォトコンテストなど学校の行事にも積極的に参加しては自分の実力を試している。
対する暢(のぶる)は、学校の課題はこなすものの、今ひとつ美容には興味がいかない。今興味がいってるのは大地、だ。
寮も同じで、仲良くしていた大地が、ある日見せた顔の表情。その顔の意味を知りたくて気にしていたら、大地を好きになってしまっていた。
しかし最近は、大地への気持ちを抑えきれなくなってきた暢は、大地を大切に思うが故に大地への口調もきついものになってくる。
そんな変化に気づいた大地は、暢に嫌われているのではないかと誤解するようになり、気持ちがからまわっていくのだがーーー。
絵津鼓先生『SUPER NATURAL』のみどころ
絵津鼓先生の作品は、ほぼ目を通しましたが、どれも素敵です。
テイストはそれぞれ違いますが、コメディでもシリアスものでも、わかりやすく表現されています。たとえメッセージがシンプルであっても、余白のあるお話であっても、決して複雑ではなく、誰にでもわかりやすいストーリー、言葉で描かれています。BLですが、ライトなので、どの年齢の方にも読みやすいと思います。
作品の魅力1:コミュニケーションの難しさ
冒頭だけを読むと、暢は少しきつい性格のように読み取れるのだけど、読み進んでいくと、単に大地のことが好きすぎるだけなんです。好きすぎて、心配したりジェラシーを感じたり……。
ただ、その気持ちがわからない大地からすると、少し強い口調で言われると、もしかして暢に嫌われているのではないかと誤解が生じます。
暢は、自分の思ったことを素直に口にしたり、疑問を相手に尋ねたりすることができます。相手との関係性にもよるのだけど、自分が思っていることをできるだけ正確に相手に伝えることは、大切です。些細なことかもしれないし、少し不躾なことかもしれない。でも、自分の心に留めておくよりも、言葉にして、相手に伝えることがどれだけ大切かは自分の実体験からも理解できます。
でもね、暢の口調はやはりたまにちょっときついわけで……。でも、謝るのも早いですね。w
対照的に、大地は大地なりに考えがあるのだけど、なかなかはっきりすっきり相手に伝えることがありません。心の中に留めておく、もしくは自分のタイミングがある、少し慎重タイプな人間です。
だから、お互い相手のことは思っているのだけど、なかなかコミュニケーションのタイミングが合わない時がある。そんなもどかしさを絶妙に描いているのがこの作品です。
作品の魅力2:かわいらしい絵柄
イケメンパラダイスな最近のBL界。かっこいい…とはちょっと違いますが、絵津鼓先生の絵は魅力があります。
丁寧に描かれてますし、重くなりがちなテーマも、頭身イラストを巧みに利用して、コミカルなタッチで人生について考えさせてくれます。
最近の絵津鼓先生のイラストは、もう少し大人っぽい男性像になりましたが、この頃の作品は少しあどけなさの残っている男性像。でもだからこそ重くなりすぎずに楽しめるのだと思います。
ただ、読めばわかりますが、コミカルなタッチでは描かれていますが、会話や内容は重めです。w
ストーリーもキャラの描写も丁寧ですが、この頃の絵津鼓先生の作品を読むと、実はかなりコマは空白が多いです。ページの色彩バランスがいいので全く気にはなりませんが、以前絵津鼓先生が「小物を描く大切さ」のお話を記していたことを思い出しました。何気ない日常の情景や人物をちょっと描くことで、物語がグッと奥深くなり、またリアルになります。
この作品(2015年作品)と、最近の絵津鼓先生の作品を比べてみると、漫画としてのクオリティの高さも一段とアップされているのがわかります。
気になった点:学び
絵津鼓先生の作品は、大体の作品に目を通しましたが、どれも大好きです。
お話もわかりやすく、先生のメッセージが汲み取れますし、少し重いテーマでも決して飽きない。人生について考えさせられる、楽しめる作品がほとんどです。
この作品も、お話のまとめ方もとてもよかったですし、二人の関係性がよく描かれていたと思います。最後まで一気に読んでしまいました。
ただ、ストーリーや主張に重点が置かれているため、この作品に関しては、私が漫画に期待している「学び」(新しい情報や知識)はありませんでした。
若い読者、今を生きている人たちには勇気づけられる楽しめる作品なのは間違いないです。私のような中年でも、エンタメとしては十分に楽しめる作品ではありますが、お話を楽しむ程度に止まりました。
まぁBLの読者のほとんどは20, 30代でしょうからね……。
人生経験の長い方なら、先生の実体験も反映されている『メロンの味』のような作品の方が、何か学びを得られるのではないかと思います。
絵津鼓先生『SUPER NATURAL』を今すぐ読む方法
絵津鼓先生『SUPER NATURAL』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
どちらのサイトでもすぐにサンプルを読むことができます。
私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。
コミックシーモア:クーポンが魅力。BLに関しては、修正が少し甘めなものもあります。
Renta!レンタ:レンタルやスタンプ機能などがあり。そしてBLCDや、他では扱っていない短編の電子も独占購入が可能。
ところで・・・
絵津鼓先生の商業BLのその後や小ネタを集めた同人誌が、電子書籍でも読むことができます。これはうれしい!SUPER NATURALの二人のその後を覗くことができます。お馴染みのメンバーもちらっと登場しますよ。まだ未読の方はぜひ!(下記のレンタ!から、サンプルがチェックできます。)
さらに・・・
絵津鼓先生が最近創作されている新作『IRUKA』のPrologueが、コミックシーモアさんで読むことができます!
絵津鼓先生の個人レーベル「forbit」発の作品。
BLではありませんが、絵津鼓先生が得意とする人間模様が描かれる作品になるのだと思います。印刷やデザインなど、ご自身がイメージしたものを作り上げていく、クリエイターとしての先生の一面を見ることができるかなと楽しみにしております。
電子でも読むことはできますが、形になったら、紙本として手に取りたいなと思っている作品です。(下記からサンプルチェックできます。)
まとめ
いかがでしたか。今回は、絵津鼓先生の『SUPER NATURAL』をご紹介しました。未読の方がいらっしゃいましたら、ぜひ手にとって欲しい作品です。コミカルだけどシリアスな人間模様。BLですが、その描写は少なく、BLというジャンルを超えた二人の人間像が丁寧に描かれた作品。素敵な作品です。
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