ゆくえ萌葱先生『白刃と黒牡丹』2巻:執着のその後

ヤ行
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こんにちは。

今日は、ゆくえ萌葱(もえぎ)先生の『白刃と黒牡丹』2巻をご紹介します。

作品データ

白刃と黒牡丹 2

ゆくえ萌葱(もえぎ)

Naked Sword and Tree Peony of Black
Moegi Yukue

刊行年月:2020.11.20

出版社:海王社(GUSH comics)

どんなお話?

ゆくえ先生の非BL作品『おれはブサメン-猫つづり-』に登場した黒井(893の若頭)と、幼なじみの執着系弁護士・白樺の恋物語。一応スピンオフになっておりますね。先生の作品は基本的にどれも世界観がつながっております。

2巻には、BL雑誌『GUSH』2020年7月号から11月号に連載された作品をまとめたものです。1巻でしっかりと関係性が完結しているため、2巻は新たなエピソードがまとまっていて、読みやすくなっております。

1巻で両想いとなった二人ですが、気持ちの温度差にやきもきする刀麻(とうま)。嫉妬に対応しようとする刀麻と、気持ちをはっきり伝えようとする黒井の駆け引きもなかなか面白く、そこに新キャラが登場して物語を盛り上げてくれます。

結局二人のイチャイチャが楽しめる2巻になっております。

ゆくえ先生の描く男性の仕草が素敵で、読後にいくつかのコマが脳裏にしっかりと焼き付くのも特徴です。

カップリング

攻め:白樺刀麻(とうま:長年の執着がやっと実りw、両想いに。でもまだ憲剛の気持ちに不安なご様子)。)

受け:黒井憲剛(けんごう:なんだこれ・・・w 腹くくったら、もう気持ちダダ漏れ状態 w)

2巻のあらすじ

長年の刀麻への想いが通じ、憲剛と両想いになった・・・はず。体の関係も復活し、しっかりと自分の気持ちを口にする刀麻。

しかし、憲剛は本当に自分のことを好きなのだろうか。同情で付き合ってくれているのではないだろうか。

胸の奥に潜んでいる不安。そんな不安がありつつ、刀麻は日々の幸せを噛み締めていた。

そんなある日、赤羽という他の組の若頭がやってきた。憲剛を慕う赤羽は、憲剛と刀麻の関係を知り、妙な競争心に火が付く。そしてあの手この手で憲剛にかまってもらおうと仕掛ける赤羽。

憲剛はどんな形で二人を戒めるのか。

ゆくえ萌葱『白刃と黒牡丹』2巻のみどころ

作品の魅力1:憲剛

高校時代から距離を置いていたが、37歳にして、やっと想いが通じた刀麻と憲剛(けんごう)の二人。刀麻の執着により、ただただ憲剛の気を引こうとあの手この手でアプローチしてきたが、憲剛は根気負けして同情で付き合ってくれているのだろうか。そんな不安を心のどこかに抱えている刀麻。

しかし憲剛は腹を括ったらしく、まったくそんなことはなかった。w

開き直った憲剛は、キスマークをつけられても、そしてそれが伴田に見つかっても何とも思わなくなってしまいました。それどころか、日に日にキスマークが増えていくのが・・・。

伴田は伴田で、長年の刀麻と憲剛のやりとりを見ていたせいもあって、両思いになって応援しちゃってるくらい。

2巻では、刀麻と憲剛どちらからの視点でも語られてはいるものの、どちらかというと憲剛の視点が興味深いです。刀麻へのしっかりとした想いがあるのだけど、すっかり隠すことなくだだ漏れになったその気持ちが面白いし、それを赤羽や刀麻本人へどうやって伝えようかと考える彼も魅力的ですね。

懐が広いように見えて、刀麻の元嫁さんとの写真を見て、しっかりとジェラシーを感じるところ。刀麻も憲剛も魅力的なキャラクターだけど、憲剛の方が受けという設定が面白く、できる若頭ではあるのだけど、刀麻のことになるとうっかり気を取られるところが人間らしさを出しています。

作品の魅力2:ブサメンを探せ

2巻も、「ブサメンを探せ」企画がありました。本編に登場するブサメン。がんばって探しました〜

1巻よりは見つけやすかったのだけど、やっぱり2箇所くらいなかなか見つからなくて、何度も読み返してしまった…

こういう先生の遊び心も、本そのものや世界観が、ゆくえ先生の創造作品として楽しめます。

作品の魅力3:癒しBL

憲剛は893の若頭。刀麻はその組の顧問弁護士という設定です。作品はラブコメまではいかないものの、どこかフィクションで描かれているため、この893設定も本格的ではありません。お仕事描写はほとんどないので、登場人物の心の駆け引きが描かれた作品です。舎弟たちもコミカルに描かれています。

読者によってはもっと本格的な描写がほしいと思うかもしれません。が、それは、雑誌の読者ターゲットによって変わってくるんだと思います。私は単行本で作品チェックしていますが、基本的には、どの漫画も雑誌に連載されたものですから。

最近は、単話配信もできるでしょうし、いろんなアプローチの仕方もあるかとは思いますが、やはり掲載雑誌の読者層によって、お話の内容や雰囲気も考慮されているのかなと思います。

この作品は、複雑な描写なく、さっと読める作品。そして、コマも大きめに描かれているため、電子でも読みやすいレイアウトです。ただ、心理描写もお話もきちんと描かれているので、1冊できっちり完結して楽しめます。これって、コマの描写に無駄がないからでしょうか。

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まとめ

今回は、ゆくえ萌葱(もえぎ)先生の『白刃と黒牡丹』2巻をご紹介しました。少しだけ癖のあるこの二人の恋愛模様、なかなか面白く読めました。派手さはないですが、しっかりと1冊でお話がまとまっていて、かつ、無駄がない作品でした。

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