こんにちは。
今日は、絵津鼓先生の『LAST FRIDAY』をご紹介しようと思います。
絵津鼓先生のコミックスはほとんど読みましたが、どれも読みやすく、わかりやすい。でもしっかりと考えさせてくれる作品が多いです。
作品データ
LAST FRIDAY ラストフライデイ
絵津鼓
刊行年月:2015年10月14日
出版社:大洋図書(ihr HertZ series)
どんな作品?
絵津鼓先生の大洋図書からのコミック。
2014年7月号から2015年7月号まで、BL雑誌『ihr HertZ』に連載されたものが1冊に纏まった、1巻完結ものです。
主人公の拓海は実家の花屋を手伝うピュアな大学生。たまたま仕事中に年下の欣也(きんや)と知り合います。
たまたま聞かれてしまった拓海の未来の彼女との「デート貯金」の話が発展し、欣也はデートの練習に付き合ってくれることになるのですが、冷静に考えたらファンタジーなお話ながらも、二人を応援したくなるように、絵津鼓先生のコミカルな作風で楽しませてくれます。
絵津鼓先生の作品らしく、全体的にかわいらしい絵柄と雰囲気が物語を盛り上げてくれますが、ふと見せる各々キャラの秘密。胸に秘めておきたいはずの気持ちを思わず打ち明けてしまう関係性へと、徐々に近づいていく二人の距離感がみどころの作品です。
カップリング
攻め:欣也(高校生。姉がチーママとして働くクラブでアルバイトしている。)
受け:拓海(大学生。いや、こっちが年上かいっ!w)
あらすじ
実家の花屋を手伝う大学生・拓海。いつかできるであろう彼女のために、家を手伝いバイト代でデート貯金をしている。
そんな拓海は、花の配達先で欣也(きんや)と出会う。どこか落ち着いて、いい人。昔から仲良くしてくれたたこ焼き屋のケンちゃんのことも知っているようだ。
ケンちゃんがデート貯金のことを欣也にバラしてしまったことで、欣也はデートの練習台になることを提案。
二人はデートに出かける。拓海が隠そうとしているある人への想いに気づいた欣也は、自分も心に秘めているある人への想いを少しだけ拓海に打ち明けていく。
お互いの秘事をゆっくり共有して近づいていくうちに、欣也は拓海の想い人の鈍感さにイライラモヤモヤしたりで、少しずつ欣也と拓也の間に違うケミストリーが生じ始めまた……!?
絵津鼓先生『LAST FRIDAY』のみどころ
作品の魅力1:対話 Dialogue
絵津鼓先生の作品は、いくつか読みましたが、どれもセリフがシンプルです。難しい言葉もなく、子供から大人まで読める言葉遣い、絵柄やテンションで描かれています。(BLですが。)
ただ、そこにあるメッセージや葛藤は、一応BLならではのものもあるのだけど、それ以上に、いち人間として生きることに難しさを感じている人に響く言葉があります。
この作品においては、拓海には内緒にしていたケンちゃんへの恋心、そして欣也の方も家庭環境へのコンプレックスがあります。心の奥に隠しておこうと思っていた各々の感情が、何かの拍子に少しずつお互いに打ち明けていく対話。
拓海はケンちゃんへの気持ちが「恋心」なのかはよくわかっておらず、またケンちゃんの奥さんとなったなっちゃんのことも好きなのに、素直に喜べなかった自分へ罪悪感のようなものを感じています。
学生時代にあまり友達がいなかったという設定で、一人っ子ということもあってか、そういう感情がなんなのか、見聞きしたり、相談したりする相手もいなかったのでしょうか。自分との対話はするのだけど、なかなか答えが見つからない。
一方欣也は、家庭環境にコンプレックスを持っている。
両親の仲は悪く、また姉とは血がつながっていない。そんな姉と思春期の欣也が家を出て一緒に住み始めたことで、欣也に複雑な感情が芽生えます。
欣也は拓海のような恵まれた家庭環境をうらやましく思い、さらに自分の環境にコンプレックスを感じていく。
物語は、拓海の視点で描かれているので、欣也の自身との対話はあまり読み取ることはできない。ただ、拓海との会話から、彼の心の葛藤を読み取ることができます。
不安材料や葛藤のネタはそれほど複雑ではないのだけど、それに対して主人公はどう考えて、どう対応していくのか。たとえ問題解決につながらくても、「考えるプロセス=自分との対話」を魅せてくれるのが、絵津鼓先生の作品の魅力の一つです。
作品の魅力2:時の流れ Current
絵津鼓先生の作品の魅力の一つに、「時間」があります。
時間の流れの感じ方は人それぞれですが、絵津鼓先生はその流れをじっくり時間をかけて、描きます。
この作品でも、実際のところどのくらいの時間設定かはわかりませんが、拓海が乗り越えようと思っていたケイちゃんへの想いも、欣也との対話、自分との対話を介してゆっくりと乗り越えてゆく様が描かれています。
拓海の結論として、知らぬうちにケイちゃんへの想いが消え去っていたこと、そしてその気持ちがゆっくりと欣也へ注がれていることになります。この時間の流れ、そしてシフトしていく気持ちの描写が非常に巧みで、初期作品ながら、絵津鼓先生の作品の中でも特に自然で、好きな流れでした。
欣也のほうの葛藤は、物語の視点が拓海ということもあり、もともと強くは描写されています。が、拓海と知り合い、彼の家族を近くに感じることで、羨ましい気持ちと、たとえ家庭環境が良くても、いろんな悩みや問題があるんだということを知り、人生の難しさを理解していきます。
そして、やはりそのベースにあるが、時の流れです。
理不尽なこと、納得のいかないこと、どうしようもない状況……。いろんな困難、あるかと思います。
でも、たとえ今心が傷ついていても、大抵のことは時が解決してくれます。
ただ、癒されるまでにかかる時間は人それぞれ。数日、数週間かもしれないし、10年かもしれない。
また、今は思い出として心を過ぎた気持ちが、数年後に心の中で動き出すかもしれない。
時間は本当におもしろく、難しい。
作品の魅力3:ライトBL
絵津鼓先生のお話は、BLではあるのだけど、直接的な表現はほとんどありません。この作品でもキスをするくらいです。「BL」という言葉を聞いただけで、絶対にエッチなシーンが満載だっ!と思っている方もまだ世の中にはたくさんいるということを最近感じて、少しびっくりしました。(いや、業界がそっちの方向に行こうとしているのか!?)
でも、この作品は大丈夫。
もし、まだBLというカテゴリーに抵抗のある方、どんな世界かわからなくて怖いな、と感じている方には、ぜひ絵津鼓先生の作品を読んでみてほしいです。
絵津鼓先生『LAST FRIDAY』を今すぐ読む方法
絵津鼓先生『LAST FRIDAY』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
私がよく利用する電子書籍サイトは「ebook japan」かレンタル本が豊富な「
Renta!レンタ」です。
どちらのサイトでもすぐにサンプルを読むことができます。
ebook Japan:クーポンが魅力です。無料漫画も多々あり。
Renta!レンタ:レンタルやスタンプ機能などがあり。そしてBLCDや、他では扱っていない短編の電子も独占購入が可能。この作品は時々レンタル可能になります。
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紙本は楽天を利用しています。電子書籍もありますし、洋書の取り寄せも安心。
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そして・・・
絵津鼓先生の商業BLのその後や小ネタを集めた同人誌が、電子書籍でも読むことができます。これはうれしい!この作品だけに限らず、他の既刊のキャラたちのその後が楽しめます。まだ未読の方はぜひ!(下記のレンタ!から、サンプルがチェックできます。)
さらに・・・
絵津鼓先生が、ご自分で立ち上げたレーベルで創作されている新作『IRUKA』も、ゆっくりと公開されております。
絵津鼓先生の個人レーベル「forbit」発の作品。
BLではありませんが、絵津鼓先生が得意とする人間模様が描かれる作品になるのだと思います。印刷やデザインなど、ご自身がイメージしたものを作り上げていく、クリエイターとしての先生の一面を見ることができるかなと楽しみにしております。
電子でも読むことはできますが、形になったら、紙本として手に取りたいなと思っている作品です。(下記からサンプルチェックできます。)
まとめ
いかがでしたか。絵津鼓先生の初期作品。この頃の作品も素敵ですが、最近はBLに限らず、人間模様を表現する作品が増えているように思えます。絵津鼓先生の作品はBLだけでなく漫画家として、少なくても一読すべく先生だと思っています。もしまだ未読でしたら、先生の作品を数作チェックしてみてはいかがでしょうか。
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