こんにちは。
今日は、大好きな草間さかえ先生の『やぎさん郵便』2巻をご紹介します。
私もすっかりハマってしまった草間ワールド。
さかえ先生の作品は、独特な世界観、イキイキとしたペンタッチ、ストーリーも練りこまれていて、漫画としてのクオリティが高く、読み手にもしっかりと考察の余白をくれます。しかし、BがLするの忘れていません。
そんなさかえ先生の代表作がこの『やぎさん郵便』です。
作品データ
やぎさん郵便 2巻
草間さかえ
刊行年月:2015.01.23
出版社:リブレ(CITRON COMICS)
どんな作品?
草間さかえ作品の代表作の1つ。
1巻完結作品が多い草間先生の作品の中では珍しく、4巻完結となっているシリーズです。タイトルは『やぎさん郵便2巻』ですが、『マッチ売り』からシリーズが収録されているので、実質3巻になります。
この2巻には、2012年9月に発表された『やぎさん郵便』17.5話から23話(+α)までが収録されております。
2組のカップルがそれぞれの方向性を見つけていきます。
花城と廣瀬のカップリング。二人の関係性はより近いものになったのだけど、花城が廣瀬の祖父から預かった絵の正体が徐々にわかっていきます。そして、花城の過去のトラウマ(本人は悩んでいるわけではないのだけど)の原因となった人物の登場により、物語は思いも寄らない事実が明らかにされていきます。
澤と有原のカップリング。相変わらずの澤だが、有原は徐々に澤の背景を知り、彼が誰を好きなのか、彼の女性に対する気持ちなどを汲み取っていきます。澤について知っていくにつれ、また、彼の周りの人たちと会話をすることで、もやもやとした自分の気持ちが晴れていきます。そして、ゆっくりと澤の優しさを感じとっていく有原。
気になる4人が、物語のエンディングに向かってゆっくりと進んでいきます。
やぎさん郵便シリーズの順番
やぎさん郵便シリーズを読む場合は、以下の順番でお読みください。
- マッチ売り
- やぎさん郵便
- やぎさん郵便2
- やぎさん郵便3
『マッチ売り』に、やぎさん郵便の1話〜8話が収録されているため、実質、『マッチ売り』が1巻となっております。
カップリング1
攻め:廣瀬清高(ひろせきよたか:まだ花城に振り回されている感。w)
受け:花城青司(はなしろせいじ:ついに過去と対決することに…)
カップリング2
攻め:澤陣一郎(さわじんいちろう:わたしゃ、惚れちゃったよ… w)
受け:有原岑生(ありはらみねお:完璧な人間なんていないよ。あんたもいい奴だよ。)
2巻のあらすじ
世話焼きの澤と、理性が働かない有原。
なんだかんだ、怪我をした有原や志緒さんらに世話を焼く澤を見て、彼が誰を好きなのか、彼が女性たちをどう思っているのか、有原は感じていく。
また、有原の澤に対する感情も変わっていくことに気づく。廣瀬のことを想っていた自分が、廣瀬のことを考えなくなった。そして、自分の中でモヤモヤしていた心が少しずつ晴れていく。
花城は、廣瀬と日々を過ごす中で、今まで普通に行っていた行為、人に触られてもなんとも思わなかったのに、誰にも触られなくなくなります。そして、花城は、ふと昔のトラウマで借りを作った人物と対決(!?)することになります。
草間さかえ先生『やぎさん郵便』2巻のみどころ
作品の魅力1:彩のある心理描写
前巻から個人的にも惹かれていた澤。
世話焼きの彼が、徐々に有原との距離を近づけていきます。実際には、澤は出会った時から何も変わってない。有原、そして読み手の私たちが彼の背景を知っていくことで、心動かされていく(少なくても私は)のが面白いアプローチです。
有原も、当初ははっきりとしない性格で、澤になすがままの状態だったのだけど、彼なりに物事を分析しているのがわかります。澤の周りの女性たちから、澤の幼少時代の話を聞き、澤の女性に見る母親像を汲み取っていきます。そして、ふとお酒を飲んだ時の澤とのやり取りで、有原も自分の心の変化に気づきます。お酒のせいなのかーーー!?
澤は、嫉妬から意地悪したりはするのだけど(1巻)結局、有原を放って置くことができない。社長と廣瀬のことにやきもきする暇もなくなっていきます。彼の世話好きの描写、有原をしっかりと想う心理描写も力強く描かれている。
有原が怪我をしている時の絡みシーン。
気持ちは盛り上がるのだけど、有原を気遣い、負荷のない体勢にさせるさりげない彼なりのささやかな思いやりに、澤の複雑な家庭環境や時代背景から何を見て、何を学んできたのかが窺えます。
廣瀬から恋文を返してもらう時に「それは俺のだ」と意思表示をする澤には、揺るがない有原への気持ちがしっかりと芽生えたのがわかります。
作品の魅力2:花城の一歩
一方、花城・廣瀬のカップリングも面白い展開を見せてくれます。
『マッチ売り』からは想像もできなかった花城が見せる弱さと不安。
理系の花城は、物事を論理的に理解し、答えをみつけだすのだけど、その過程もさりげなく描写されているのが面白いです。そして、物語が進むにつれて、彼の感情があらわになっていきます。
廣瀬への想いはもちろんのこと、過去のトラウマ!?の原因となった人物との久しぶりの対面。そしてその場所に廣瀬もつれていくところなど、花城なりの前への進み方を、廣瀬と一緒に歩んでいく決心をしています。
ただ、さすがさかえ先生。花城のユニークな性格は色あせず、巻末最後まで笑わせてくれます。そして、比較的大人しかった廣瀬のとんでもない背景へとつながっていきます。ここが一番面白いかも。w
理性と知性が足らなきゃ生理欲求に押しつぶされるタイプだな
引用:草間さかえ『やぎさん郵便 2』, 2015
作品の魅力3:個性的な絵柄
さかえ先生の絵柄は、少しクセがあります。
絵はどうしても好みがありますが、さかえ先生の作品を読み始めるまで、実は少し苦手意識がありました。しかし、数ページ読み進めていくと、クセのある絵が全く気にならないほど作品に引き込まれ、結局さかえ先生の世界観から抜け出せなくなってしまった。w
この作品は特に、戦後の東京という設定で、服装はもちろんのこと、囲炉裏やおもち、市電や雪… さりげない背景なのだけど、しっかりと時代背景が描かれており、作品全体に残り香があります。ビジネスマンとして洋服を着る花城や澤、そしてその対象に和服の有原や廣瀬の描写も嬉しい。
物語を追っていくと、CPにのみ目が行きがちですが、コマに情景が入ることで、その当時の、日々の空気感が漂います。4人のメインキャラはもちろんんこと、実際にはより細かな脇キャラたちが登場しており、年齢もさまざま。それぞれがしっかりと描き分けられており、混乱なくメインキャラを追うことができます。とにかく漫画としてのクオリティが高いです。
草間さかえ先生『やぎさん郵便』2巻 を今すぐ読む方法
草間さかえ先生『やぎさん郵便』2巻 を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。
どちらのサイトでもすぐにサンプルを読むことができます。
コミックシーモア:クーポンが魅力。BLに関しては、修正が少し甘めなものもあります。
Renta!レンタ:レンタルやスタンプ機能などがあり。そしてBLCDや、他では扱っていない短編の電子も独占購入が可能。
コミックシーモアの月額コミック読み放題が一番お得!BLも読み放題!
草間さかえ先生『やぎさん郵便』をもっと楽しむ方法
もっと楽しむ方法1:ドラマCD
残念ながら、どうやら『やぎさん郵便』2巻はドラマCDになっていいないようです。
しかし『マッチ売り』はドラマCDで楽しめます。
草間さかえ先生の『マッチ売り』、うれしいことにドラマCDがリリースされています。
ポケドラからオーディオDLができます。エピソードごとの購入も可能なので便利。
CDメディアは、新品での購入は非常に難しいですが、中古では見つけることができるかと思います。ネットオフさんで、BLCDの中古もいろいろ見つけることができますので、探してみてください。
もっと楽しむ方法2:英語版『Lost Letter』
もう一つの楽しみ方は、英語版を読んでみることです。
語学勉強を大好きなBL作品でしてみるのはいかがでしょうか?
以下、洋書の電子は「楽天ブックス」で取り扱っています。素晴らしい!
これが意外と勉強になるんです。
個人的には紙本で読まれることをオススメしたいところですが、電子でも十分に語学勉強に役立てることができます。
まとめ
今日は、草間さかえ先生の『やぎさん郵便』2巻をご紹介しました。タイトルは2巻となっていますが、実際には3巻です。複雑に絡んできた4人の人間模様、そしてその背景には実はいろんなつながりがある。そして、こんな複雑な人間模様の中にも、しっかりとBがLしてくれています。
次巻で完結。旧作とはいえ、こんな面白い作品を今まで読み逃していた自分が悔しい!いや、今さらながら知ることができて、心から感謝しています。
もしまだ未読の方は、今すぐ『マッチ売り』から読んでみてください。ストーリー重視のBLをお探しの方にはオススメの作品です。
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