こんにちは。
今日は心温まる絵津鼓先生の作品『ハッピーマジカルNIRVANA』をご紹介します。
絵津鼓先生の作品は、ゆっくり読んできましたが、この作品は、絵津鼓先生が絵柄を少し変えた後の作品、そしてファンタジーと、今までの絵津鼓先生らしい雰囲気をそのまま残しながらも挑戦的な要素との融合で、面白かったです。
作品データ
ハッピーマジカルNIRVANA
絵津鼓
刊行年月:2023.01.10
出版社:講談社(Honey Milk Comics)
どんな作品?
絵津鼓先生のハニーミルクからのコミック。
14年片思いしている相手とシェアハウスをすることになった澄春(すばる)が、シェアハウスで見つけた不思議アイテムによって少しずつ変化していくファンタジックなお話。
絵津鼓先生の絵柄も去年あたりからより大人っぽくなって、かっこいいメンツたちがシェアハウスをにぎわせます。
タイトルがNIRVANAとあって、どんな作品なんだろ…と不思議でしたが、タイトル通り、ハッピーでマジカルなNIRVANAでした。w
絵津鼓先生は可愛らしい絵柄だけどシリアスなテーマを描く先生だなぁと思っていたけど、こういったコミカルなファンタジーものも描くんですね。ファンタジーは好んで読むタイプではないのだけど、メッセージ色のあるこういうお話、とても良いです。
意外と、ど直球な恋物語なんですよ。😊
カップリング
※ 攻め・受けははっきりありませんでした
攻め:大悟(鈍感なノンケ。澄春の一つ年上。澄春とは高校時代からの知り合い)
受け:澄春(14年間大悟に片思い。でも、自分の気持ちは伝えてなかった)
あらすじ
高校時代から一つ上の先輩で今は親友となった大悟に想いを寄せている澄春(すばる)。大悟の家族は民宿を営んでいたが、改築してシェアハウスに建て替えることから、大悟、大悟の弟、澄春と数人の同居人たち5人で一緒に住むことに。
そんな中、シェアハウスから摩訶不思議なアイテムがポロポロと見つかり、不思議な体験をしながら澄春に少しずつ変化が。14年間大悟に想いを寄せている澄春だが、気持ちを大悟に伝えることができるのか。鈍感な大悟は、澄春の気持ちに気づくのか?
絵津鼓先生『ハッピーマジカルNIRVANA』のみどころ
先日、絵津鼓先生の『メロンの味』を読んだ。あの少しダークな作品がすごく印象的で心に残っていたので、このピンクの表紙に(いい意味)違和感を感じていた。購入前にあらすじをチェックしてなかったんです。
だから、冒頭からファンタジーが繰り広げられて、ちょっとびっくり。w
絵津鼓先生は日常のリアリティある作品を描くのが上手い先生だな〜思っていたのだけど、ファンタジーもOKなんだ、と。幅広い作風に驚かされました。
でも、読み始めると、ファンタジーの中にもやはり先生ならではの心理描写があり、可愛らしいコメディになっています。
作品の魅力1:ど直球な恋物語
シェアハウスからポロンポロンと出てくる謎のマジカルアイテム。これが、なんとも都合の良いアイテムなんです。w そして、可愛らしい。やっぱり絵津鼓先生の作品は、絵柄が変わっても、かわいいなぁ。
冒頭から登場する不思議な雰囲気を醸しだす分厚い本。
アカシックレコード 📚
大悟が「じいちゃんから聞いた」と語り出します。
どんなじいちゃんだよっ!w
もうこのクダリから、笑えます。
ファンタジックな展開に戸惑う私。😆
でも、ポツポツと出てくるこの謎のアイテムによって、主人公・澄春の大悟に対する気持ち、感情、そして澄春が自分に対する後悔の気持ちが出てきます。
シェアハウスをすることで、澄春がたまに襲われる嫉妬心。やさしく描かれてはいますが、大悟を想うことで、辛い気持ちも募ってくる。
ゲイの澄春は、自分の大悟に対する叶わぬ想いへの落ち込みから、とあるアイテムを使って、14年間の想いを消そうとする。実際にそうすると、気持ちがすっかり楽になる。いわゆる気持ちのリセット。はたまた、想いを自分の中で素直に「受け入れる」ということなのか。
そしてリセットをきっかけに、澄春は自分の想いを素直に大悟に伝えます。
物語の目線は常に澄春。大悟の表現は間接的にしか出てきません。が、大悟も恋愛に関しては自信を持つことができなかった。そんな彼が、澄春の気持ちを聞くことで、ふと謎のスイッチが入ります。w
好きといわれると、相手のことが気になり始める。視界に入り始める。人間そんなもんですよね。w
はっきりいって、ファンタジー的な要素以外は、特別大きな事件は起こらないのです。が、BLだからでしょうか。妙に何気ない仕草や行動にドキッとするんですよね。しかも、絵津鼓先生の大人っぽい絵柄がなんともリアリティがある。
まったく動くことがなかった澄春が、マジックの助けを得て少しずつ行動、変化していく。そんな変化からか、自分の気持ちを再確認して、前へ進む。
大悟も気づかなかった澄春の気持ちへの申し訳ないという気持ちから、見えなかった澄春の違う側面が見えてきたのか、心が違う方向へ動き出します。
このボリュームある1冊。絡みはありません。それなのに、ところどころドキドキするのは、やはり先生のお話の盛り上げ方、そして画力なんだと思います。
また、詩的だったり間接的ではなく、絵津鼓先生の作品はいつも直球です。
多少語りはあっても、キャラの表情や行動はわかりやすく直接的なこともあり、逆にそれがどきっとします。
作品の魅力2:セクシュアリティと将来性
絵津鼓先生の作品はほとんど拝読しましたが、将来の不安について描かれることが多いですね。人間として、というよりも、ゲイとして将来一人なんじゃないか、という不安。今回の作品でも、冒頭の笑えるクダリからもそうだし、同居人・十真(アセク)からもその考えが見られます。
でも、一人って、なんだろ。
結婚できないということ?同棲もそう?家族は?
人とのつながりが浅くなってきたのは、セクシュアリティに限らず、現代人の実生活で実感している人も多いのでは?若い人たちも、中年も、お年寄りも、人恋しく寂しく感じているのではないでしょうか。
世の中、どこかに必ず自分の居場所を見つけることができる。
理想の場所かどうかはわからない。でも自分がありのままでいられる場所、あると信じてます。
限られた国、市、地域が難しいのなら、そこから移動して探しに行くしかない。やはり、自分で行動しなければならない。でも、必ずあると思います。
この作品から、居場所を見つけに行く行動力までは読み取ることはできなかった。ただ、さらっと問題提起として読み取れる部分は、魅力の一つかなと思います。
作品の魅力3:魅力的なシェアハウスの同居人たち
派手さはないものの、澄春、大悟含めた5人の同居人たち、魅力的です。
等身大。
大悟の弟・成文(なるひさ)は澄春と学生時代からの友達だし、澄春の同僚・泰生(たいせい)はゲイ仲間。意外と美形の十真(とま)はアセク。全員BLに展開してほしいわけではないけれど、それぞれのお話も作り上げていくことができそうなメンツです。
同居人メンバーからは、今作は、泰生が気になる男の子がいる設定で、小話として少し進展があります。アセクとされている十真なんかも興味深いエピソードが生まれそうですが、BL読者がそれを求めているかどうかは、別の話、ですかね。☺️
絵津鼓先生『ハッピーマジカルNIRVANA』を今すぐ読む方法
絵津鼓先生『ハッピーマジカルNIRVANA』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
どちらのサイトでもすぐにサンプルを読むことができます。
私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。(どちらのサイトにもサンプルがあります。)どちらのサイトもBL作品の品揃えがよく、ほとんどの作品はサンプル立ち読みができます。また、無料で読めるBL作品がたくさんあります。
コミックシーモアはクーポンが魅力。無料書籍や試し読み部分が多めです。BLに関しては、修正が少し甘めなものもあります。
Renta!は、レンタルやスタンプ機能などがあり。そしてBLCDや、他では扱っていない短編の電子も独占購入することもできます。お好きな先生の情報をチェック。
ところで・・・
絵津鼓先生の商業BLのその後や小ネタを集めた同人誌が、電子書籍でも読むことができますよ。今のところ、このNIRVANAの小ネタはリリースされていませんが、既刊のキャラたちのその後が楽しめます。まだ未読の方はぜひ!
まとめ
今日は、絵津鼓先生の『ハッピーマジカルNIRVANA』をご紹介しました。ファンタジー系の要素はありますが、先生がいつも描いている日常のひととき。今回は、直球の恋心を描いた作品となっております。ハッピーな気分になれるので、オススメです。未読の方はぜひ、読んでみてください。
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