こんにちは。
今回は、みちのくアタミ先生の『アダムの肋骨』をご紹介します。よみどころのある作品でした。私にとっては初めてのアタミ先生の作品です。多重人格という難しいキャラ設定でしたが、物語は2巻で完結させることもあってか、ほどよい掘り下げ方で難しくなかったです。
作品データ
アダムの肋骨 1
みちのくアタミ
刊行年月:2019.06.15
出版社:大洋図書(H&C Comics ihr HertZ)
どんな作品?
『腐男子高校生活』シリーズでおなじみ、みにのくアタミ先生が、BL雑誌『ihr HertZ』に2018年5月から2019年3月号まで掲載されたものをまとめた作品で、2巻完結です。
大洋図書からは初のコミックとのことです。
攻めた表紙。紙本主義の自分としては、店頭購入時にかなりドギマギしました!😆
精力的に執筆活動している先生ですが、このシリーズもボリュームのある上下巻になっております。しっかりとしたストーリーはあるものの、絡みシーンもたっぷりの作風の先生です。
多重人格の攻めと、その中の存在する人格との間で揺れ動く受けの三角関係のお話。漫画そのものもコメディタッチで面白い。コメディとはいえ、多重人格という興味深い題材に興味がある方もぜひ手に取ってみてほしいです。
全2巻完結ですが、今回は1巻をご紹介します。
カップリング
攻め1:色織一羽(しきおり・かずは:悠真のルームメイト。穏やかで優しい性格。メガネ愛用)
攻め2:色織レイ(一羽のもう一人の人格。少し強引で、荒い正確だが、しっかりと「自分」を持っているキャラ)
受け:広瀬悠真(ひろせ・ゆうま:ルームメイトになった一羽とレイの二人の人格に揺れ動く受け。w)
あらすじ
悠真は、ドリームパークで着ぐるみの仕事をしていたが、ある日パーク内で知り合った一羽と社員寮のルームメイトになる。
しかし一羽の様子がおかしい。ある時は穏やかでやさしい顔立ちなのだが、突然強引になったり、子供のように泣いたり・・・。どうやら一羽は多重人格者らしいのだ。そして、以前付き合っていたかのように一羽から言い寄られる悠真。
この間知り合ったばかりのはずの一羽と悠真のはずなのに、悠真は、なぜか一羽に以前会ったことがある気がしてならない。
次々に姿を現す一羽の別の人格、悠真の中の不確かな記憶、そして別人格からなぜか体を迫られる悠真。一羽の多重人格の謎と、悠真の記憶の謎が、ゆっくりと明らかになっていく。
みちのくアタミ先生『アダムの肋骨』のみどころ
作品の魅力1:多重人格キャラ
二重人格ではなく、多重人格を選んだ難しさ。w
BLに癒しを求める読者には少し複雑に感じるかもしれませんが、普通に漫画としてBLを楽しんでいる読者には、ほどよい奥行きがあって良いかと思います。漫画において、こういうテーマは大歓迎。ただ、描き分けがなかなか難しそうなので、どのように表現していくのかが気になるところでした。
メインの人格は、一羽とレイの二人。どちらも頻繁に出てきます。自分自身が複数の人格を創らねばいけなかった彼の過去のトラウマがテーマの一つになってきます。そして、この二人の人格の中で、悠真への愛情、そして一羽とレイの間での嫉妬心のようなものなど、複雑な三角関係が生まれていきます。
他の一羽の人格は、子供、女性、そしてその他のいくつかの人格と、はっきりメインの二人と区別ができるように表現されており、キャラクターに厚みが。
一方、受けの悠真も、ごく普通のキャラのように描かれてはいるのですが、どうやら悠真も以前一羽にあったことがあるのでは?という設定になっています。いわゆる逆行性健忘症(トラウマとなる事柄の少し前の記憶から思い出せない)です。
それぞれのキャラに「記憶」という障害、そして葛藤があります。
物語を読み進める限りでは、それほど重々しくありませんので、楽しく読めるのですが、実はかなりディープな心理状態が表現されているのが面白く、読者によっては、より調べるトピック題材としても楽しいかもしれません。
作品の魅力2:漫画としての面白さ
重々しいテーマとは裏腹に、漫画としてとても読みやすく仕上がっています。
絵柄、キャラの描き分け、そして先生のコミカルな表現のおかげで、混乱することなく読み進めることができます。
厚みのある1冊があっという間に読めてしまうのは、お話が面白いから。セリフや進行の具合、絡みシーンのバランスが絶妙で、あっという間に時間が過ぎていきます。かといって、薄っぺらい作品でもなく、しっかりと考察する余白や知識吸収の機会も残されている。読み手によって、いろんな楽しみ方ができる作品です。
こんなシリアスなテーマ、まさかコメディチックな作品とは思いませんでした。w
作中、悠真のいとこであるこーちゃんが登場。外国人のリアンと一緒に日本へ帰国するという設定なんですが、うれしいご都合主義設定で(笑)精神科医。このこーちゃんもリアンとBL設定です。この作品では控えめな表現に終わっていますが、ちらほら二人のイチャつきも楽しめます。こっちはこっちで気になるキャラですね。
そんなオモシロ描写もあるほどで、作品全体のお話の流れがとても上手だな、と思います。
作品の魅力3:攻めた絡みシーン
2019年の一冊ですが、修正が少し甘いです。少なくても紙本では、白い横線が入っている程度の修正でした。みちのく先生は結構リアルな描写が多いのと、きわどいアングルのものが多いので、絡みシーンを楽しみにしている読者も多いのかもしれませんね。ihr HertZのコミックでこの手の作品を読むのはちょっと珍しいかも。私の気のせい!? w
ファンサービスでちらほらと絡みシーンが入っているのは、最近の作品の傾向なのかな?物語が中断される感じはしないのだけど、ぐっと盛り上げてラブシーンがある、というよりも、物語の箸休めに絡みシーンが入るといった感じも否めませんが・・・。好きな方にはまったく問題ありません。がっつりとした絡みで、かなり直接的な描写です。
ただ、エロス(超越愛)ではなく、エロです。w
かなり直接的な表現だと思います。だから、読者の性癖に合うか合わないかはぜひご確認ください。w
巻末にあるあとがきに、みちのく先生と担当者のやりとりが載っており、実はこちらも結構面白かったです。ちょっとした裏話を聞くのも楽しいですね。
みちのくアタミ先生『アダムの肋骨』を今すぐ読む方法
みちのくアタミ先生『アダムの肋骨』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
どちらのサイトでもすぐにサンプルを読むことができます。
私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「
Renta!レンタ」です。(どちらのサイトにもサンプルがあります。)どちらのサイトもBL作品の品揃えがよく、ほとんどの作品はサンプル立ち読みができます。また、無料で読めるBL作品がたくさんあります。
コミックシーモアはクーポンが魅力。無料書籍や試し読み部分が多めです。BLに関しては、修正が少し甘めなものもあります。
Renta!は、レンタルやスタンプ機能などがあり。そしてBLCDや、他では扱っていない短編の電子も独占購入することもできます。お好きな先生の情報をチェック。
まとめ
いかがでしたか。今回は、みちのくアタミ先生の『アダムの肋骨』1巻をご紹介しました。多重人格のお話をベースに、ファンサービスたっぷりな絡みシーンも含め、続きが気になる巻末エンディングになっています。読む際には2巻セットで読むことをオススメします。漫画の完成度も高い先生なので、ぜひ他作品もチェックしてみたいなと思っています。
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