今回は、南月ゆう先生の人気シリーズの始まりとなる『サヨナラゲーム』をご紹介します。
この作品が始まりとなり、スピンオフ作品へと広がっていきます。
絵もお話も丁寧に描かれる先生で、小説のようにきれいに描かれる世界観が魅力です。
作品データ
サヨナラゲーム
南月ゆう Yu Minazuki
刊行年月:2016.10.15
出版社:新書館(ディアプラスコミックス)
どんな作品?
BL雑誌『Dear+』にて、2016年年4月号から8月号まで連載された南月(みなづき)ゆう先生の人気シリーズ。ここからスピンオフも生まれた先生の代表作です。そもそも、このハイクオリティの作品を毎月連載していたという事実に驚きです。w
野球部出身の先輩・有村と後輩・要祐の恋愛模様。この作品ではじめて南月先生の作品を読みましたが、ベテランの先生ということもありますが、絵もお話も非常に丁寧に描かれており、物語は小説のようにセリフとモノローグでしっかりと心情を説明するスタイルです。小説が好きな方も酔いやすいのではないでしょうか。
有村 x 要祐 のこのシリーズは3冊出ております。
サヨナラゲーム
チェンジワールド 上
チェンジワールド 下
カップリング
攻め:有村(ノンケだが、要祐の気持ちに気づいてから急に目覚めた w)
受け:要祐(ようすけ:高校時代から先輩の有村に憧れていた。好きなのか、憧れなのか…)
あらすじ
高校時代に野球少年だった有村は、今はデパートに務める社会人。たまたま有村の妹の家庭教師をすることになったのが要祐。実は有村の2つ下の野球部の後輩だった。目も合わせない素っ気ない人見知りな要祐に興味を持った有村だったが、実は人見知りではなく、学生時代から有村に憧れていたというのだ。そんな要祐の気持ちを知り、有村も要祐のことが気になり始め、気持ちが揺らいでいったーーー。
南月ゆう先生『サヨナラゲーム』のみどころ
作品の魅力1:切なさに胸を締め付けられる画力
南月ゆう先生の作品は初めて拝見しましたが、とにかく絵柄が丁寧です。
絵の好みは多少あるにせよ、線の描き方やコマの表現の仕方など、長年漫画を読んできた読者にも読みやすく、また馴染みのある表現の仕方です。先生の仕事の丁寧さは一目瞭然。
電子漫画が主流になりつつある今、コマの形そのものがシンプルになってきましたがが、この作品は感情をより表現するためのアップや斜めコマなど、デジタルでもいろいろと駆使していると思います。(デジタルだよね!?)
そして画力があるからこそ、アップの切ない目線やさりげないアングルにグッと胸を締め付けられます。
クライマックスには効果的にアップが用いられているんですが、やはり描き込みの深いイラストでなければ奥行きがでないよな〜、と、先生の画力を見せつけられました。
物語の緩急を出すために、頭身を巧みに使い分けて表現しているのも特徴です。お話自身はシリアスなんだけど、コミカルな頭身が入るだけで、柔らかくやさしい作風になっています。一般的に読者は女性が多いと思いますので、こういう可愛さも、母性本能をくすぐられますね。w
作品の魅力2:小説を読んでいるかのようなモノローグ
いろんなタイプの漫画があると思います。セリフだけで説明する作品、絵で表現する作品、はたまたモノローグをふんだんに使う作品。南月先生の作品は、モノローグを効果的に利用する先生です。セリフは自然な会話なんですが、小説のような少し詩的なセリフはモノローグで語ります。そのため、リアリティのある会話部分と小説を読んでいるような心情表現の2層が並行で描かれている感覚で、奥行きのある作品となっています。
そして、お話を読むとわかりますが、心情がとても丁寧に描かれていて、各々のキャラの感情も細かくセリフとモノローグで表現されています。モノローグといっても、決して直接説明するようなものではなく、ちょっぴり詩的にまとまっているのも、読み手に少し考察の余白を与えてくれます。
作品の魅力3:まさかの豹変で締めくくられる絡み
最後の魅力ポイントとして、絡みシーン!
絵柄があまりに丁寧なので、絡みなんてきっとなく、キスできれいに終わるのだろうなんて勝手に思っていましたが、がっつり絡みシーンがありました。w
この先生の作品、あまりにきれいなので、BLっていうことをたまに忘れるんですよ。そして忘れた頃に絡みシーンがきて、びっくりしちゃう。
しかし、ただHなシーンというわけではなく、先生からのファンサービスのような、やさしいソレです。少しの絡みシーンは大丈夫という読者さんなら、BLが初めての方にもオススメしたい作品です。なぜなら、作品そのものがよく描けているから。
個人的見解ですが、有村先輩の豹変に驚きました。ノンケのはずが、かなり積極的にコトをすすめます。初めてのはずなのに、なぜそんなこと知ってる?みたいな。
ちなみに、最後のエピソードは、雑誌掲載時から加筆されているようなんですが、雑誌にこういった絡みシーンは載っているんでしょうか。たまに、本編では絡みなく終わるのに、単行本の描き下ろしでがっつり絡みがあるっていう作品が多い気がしますね(少なくてもこの年代の作品は)。
南月ゆう先生『サヨナラゲーム』のスピンオフとは
有村 x 要祐 のシリーズは、この後『チェンジワールド上下巻』に続きます。
そして、そこに登場する穂積というキャラが、その後続いていく『ラブネスト』の主人公になっていきます。すべてはこの作品からスタートしましたが、スピンオフで世界観が広がっていくたびに、作品の出来も良くなっていきます。
2024年1月現在で確認できるシリーズ・スピンオフは以下の通り。
- サヨナラゲーム
- チェンジワールド 上下巻
- ラブネスト 上下
- ラブネスト 2nd 上下
- エンゲージ 1、2(連載中)
この作品から派生していったとはいえ、キャラの設定や世界観はそれぞれ違っていて、どの作品も魅力があります。南月先生の画力もどんどん進化しており、イラストが好きな方もぜひチェックしてほしいところです。
南月ゆう先生『サヨナラゲーム』を今すぐ読む方法
南月ゆう先生『サヨナラゲーム』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
どちらのサイトでもすぐにサンプルを読むことができます。
私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。(どちらのサイトにもサンプルがあります。)どちらのサイトもBL作品の品揃えがよく、ほとんどの作品はサンプル立ち読みができます。また、無料で読めるBL作品がたくさんあります。
コミックシーモアはクーポンが魅力。無料書籍や試し読み部分が多めです。BLに関しては、修正が少し甘めなものもあります。
Renta!は、レンタルやスタンプ機能などがあり。そしてBLCDや、他では扱っていない短編の電子も独占購入することもできます。お好きな先生の情報をチェック。
まとめ
今回は、南月ゆう先生の『サヨナラゲーム』をご紹介しました。
今現在連載中の『エンゲージ』、そして『ラブネスト』は読んだことがあるけれど、サヨナラ・・・はまだ、という人も多いかもしれません。また、まだ未読の方は、BLの代表作品をチェックするのに欠かせない先生の一人です。ぜひこれを機にシリーズを制覇してみてはいかがでしょうか。
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