こんにちは。
今回は、前回ご紹介した滝端(たきば)先生の2021年作品『ライトオブマイライフ』の感想をおしゃべりしようと思います。
作品自体は以前ご紹介しました。全体的には好きな作品で、滝端先生も魅力的な作家さんです。
先生の作品の魅力は前回ご紹介したので、今回は自分が読み終えて気になった点を中心におしゃべりしようと思います。
これは、私個人の勝手な感想です。読んだときの自分の体調、環境などによっても大きく左右されていますので、おしゃべりということで、お付き合いください。😊
作品データ
ライトオブマイライフ
滝端(たきば)
刊行年月:2021.03.20
出版社:一迅社(gateau comics)
滝端先生『ライトオブマイライフ』:ネタバレ!?感想・レビュー
前提として、滝端先生は好きな作家さんです。
この作品の魅力、いいところは、作品ご紹介のところに記載しましたので、まずはそちらを読んでいただければと思います。
ただ、迫力ある画力で、盛り上げ方もかなりドラマチック・・・なはずなんですが、どうしてもこの先生の作品、私の中で思ったほど盛り上がらない。特に中間部分。なぜなんだろう。。。
ということで、個人的見解ではありますが、分析してみました。
気になった点0:誤字・脱字
基本的な話として、誤字・脱字は、書籍においてあってはならない間違いです。誤植ならまだしも、明らかな誤字や文章の間違いがあると、気持ちが盛り下がってしまいますね。ちなみに原稿のチェックって編集者の方も関与してるのだろうか。今回それがありましたので、ちょっと残念でした。
気になった点1:二人の想いの根源
アキがナギを思う気持ち、そしてナギがアキを想う理由。お互い気持ちがあるのはわかるのだけど、それはいつから?どういう風に?もっと具体的に知りたかった。
アキがナギを想う気持ちは、高校時代からほのかにあったとはいえ、それほど強いものだったとは感じられませんでした。
二人が肌を重ねた時にはすでにその気持ちがあった。高校卒業してから2年くらいたったころですね。この時のアキの気持ち、そしてさらにそこから4年ほどが経ち、一緒に住むことになった時のナギへの感情。かなり長い時間が経っているのだけど、この間のアキのナギへの想いの変化がわかりにくいのです。
もちろん、セリフでの説明はあるのだけど、具体的な描写は少なく、その間にあったと思われる美容師の勉強などの忙しい日々の中で、アキは、どのようにナギへの想いを募らせて行ったのか。もしくは、一緒に住み始めたことで、想いがより深いものになっていたのか。
ナギの気持ちも同様です。彼の想いは、高校から始まっていたのか。友達以上の感情はあったと思うのだけど、事故の後は、好きという気持ちよりも、罪悪感がナギの心を埋めてしまったのでは?だから、お互いを思う気持ちがどのように展開されていったのか、いろいろと考えてしまいます。
気になった点2:切り取る描写の癖
物語は、シーンの切り取り方によって、感じ方が全然変わるものですね。
滝端先生の作品は、数冊読んでみましたが、先生のお話の進め方と、私の感情処理のペースが少し合わないのです。
例えば、ナギが涙するシーン、2回ありました。
1回目はナギがアキの家から出ていく場面。ちょうどお話の中間部分ですね。家を出る前に、アキに髪を切ってもらいます。ここ、すごくいいシーンなんですよね。でも、その直前にあるナギの回想シーン。これを読んだばかりなので、まだ私の感情は高まりがついていってないんです。w
これは、飲み込みが悪い自分のせいでしょう。
でも、せっかくのいいシーンの後の涙なのに、今ひとつ心に届かない。この感情のズレ、読む際に自分で調整しなければなりません。w
2回目の涙は、アキがナギに気持ちを伝えた時です。
もちろん、お互い共通の気持ちがあったという嬉しさ、安堵からの涙でしょうか。この涙はすごく自然で、またクライマックスに近づいていることもあり、お互いの背景が分かった上での涙。ですから、グッとくるんです。
この2回目の涙は、自分の感情のスピードにもマッチしているため、すごく心に響きました。
滝端先生のいくつかの作品を読んで、ラストはとてもいいのだけど、中間の山場がどうも自分にグッとこない、と気づきました。感情のスピードが先生のそれとなかなか合わないのです。
気になった点3:小さな疑問による心のモヤモヤ感
先生の作品には、中間に一つの山が来るのだけど、その山場の感情がいつもひっかからない。
なぜだろうと考えてみました。
私にとっての理由の一つは、「描写からくる感情の薄れ」です。
たまに、物語を読み進めていると、あれ?と思うことが多いんです。
それは、セリフだったり、絵だったり、理由はその時々で違うんですが、そのモヤモヤした気持ちが中間までの感情の昂りを少し抑えていることに気づきました。
この作品に関していえば、3つの疑問が感情の心をもやもやさせました。
数字
物語の中にときたま登場する数字。たとえば、ナギがホストNo.1になるまで、「予定よりも2年かかった」というシーン。ナギの予定では、ヘルプに半年、そしてそこからNo.1になるまで2年、というセリフが後にでてきます。(つまり、2年半)じゃあ実際、その予定よりも2年多くかかったということでしょうから、4年半かかったのかな?と、計算します。
でも、成人式(20歳)の話や、10年前のあの事故の話など、数字が出てくるたびに、
あれ?結局今、彼らは何歳ぐらいなんだろ?
と、気になってなりません。w
ナギは医学部に進学し、医師免許をとったという設定。ということは、大学は6年行き、卒業しているようです。
そんな余計はことまで考え始めると、せっかくのお話の部分がなかなか入ってきません。w
ナギの効力
アキの祖父は、理髪店を営んでいました。高校を卒業すると、アルバイトとしてアキも祖父の手伝いを始め、美容師の資格を取っています。(ということは、ちゃんとした専門学校には通ったということですよね。)でも、理髪店になかなかお客さんが来ない、と愚痴るアキ。
なんとかアキを助けたいナギは、自分が関わることで少しでもお客さんを呼べないものか、と考えます。
でも、結局、ナギはどうやってこの美容院に貢献したのか、具体的な描写がありません。もちろん、物語のポイントはそこではないのだけど、セリフに何度かさらっと出てくるだけに、ナギと美容院の具体的な関わり合いがわからず、言葉だけの説明に、物語のリアリティが感じられなかったりします。
ナギがこの美容院によく出入りしているのはわかるのだけど、例えばホスト仲間にこの美容院を薦めるとか、お客さんに薦めるとか、はたまた美容院にきているお客さんに話しかけるとか、そういったコマを1つでも入れることによって、ナギの美容院への貢献度!?がもっとリアルに感じるんじゃないかな、と思いました。
ぬいぐるみ
ナギがアキの家を出て行った後、アキはクローゼットの中から、おもむろにぬいぐるみを取り出します。
・・・なんだろ、これ!?
思い出の品なんですよ。二人で行った深海魚展。w
デートですよ、デート。あの時の。。。
でも、デートのシーンでぬいぐるみが出てこなかったですよね!?
ちらっとでも出てきてたら、心に残るんだけど、急にこのクローゼットのシーンで登場するんです。
もちろん、読者の心はあのデートシーンにリンクはするのだけど、このぬいぐるみ(アイテム)の効力が弱いです。デートシーンでさらっとぬいぐるみを見ていれば、このクローゼットから取り出した時に、読者の感情のトリガーになるんですが・・・。アイテムやモチーフの持つ効力がそこで発揮されるわけで。
だから、非常にもったいないんです。
と、思った次第でした。
私がフィクションに求めていることは、「情報(コンテンツ)」や「物」だけではないです。本を買いにお店に行って、自分が欲しい作品を探して、手にとって、重みを感じながらそれを何度も読んで、それについてああだこうだと友達とおしゃべりする。そんな一連の行動が好きだし、その経験から、作品も自分の頭に少し残るのかなと思います。
だから、私個人の感想はどうでもいいんですが、この感想を誰かに話したり、他の方の感想を聞くことで自分が見えてなかった部分が見えてくるのかな、と思っています。
残念ながら、BLに関しては周りにおしゃべりする人がいないので、ブログに書くことで終わっていますが、もしどなたかこのブログを読んでくださった方がいれば、何かの参考、もしくは気づきのきっかけになってもらえたら、と思います。
上記のように、気になる点はいくつかありましたが、それは「私」と滝端先生作品との対話であって、作品自体は面白く拝読しています。なので、先生の作品を読むときに自分の感情のスピード!?を調節すれば、きっともっと楽しめると思っています。
滝端先生の作品は魅力的なので、今後も読んでみたいと思っています。
滝端先生『ライトオブマイライフ』を今すぐ読む方法
滝端先生『ライトオブマイライフ』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
どちらのサイトでもすぐにサンプルを読むことができます。
私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。(どちらのサイトにもサンプルがあります。)どちらのサイトもBL作品の品揃えがよく、ほとんどの作品はサンプル立ち読みができます。また、無料で読めるBL作品がたくさんあります。
コミックシーモアはクーポンが魅力。無料書籍や試し読み部分が多めです。BLに関しては、修正が少し甘めなものもあります。
Renta!は、レンタルやスタンプ機能などがあり。そしてBLCDや、他では扱っていない短編の電子も独占購入することもできます。お好きな先生の情報をチェック。
紙本もまだ新品で入手可能です。
まとめ
いかがでしたか。
今回は、滝端(たきば)先生の『ライトオブマイライフ』の感想をご紹介しました。
滝端先生は最近知りまして、絵にすごく魅力を感じている先生の一人です。先生の作品もまだそれほど多くないので、できる限り読んでみようと思っています。読まれた方は、ぜひあなたの感想も教えて欲しいです。
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