こんにちは。
今回は、おげれつたなか先生の代表作の一つ『ハッピー・オブ・ジ・エンド』をご紹介します。巻ごとに雰囲気が違うため、今回は2巻をご紹介します。
おげれつたなか先生の作品はなぜ凄いのか。今までの作品もそうですが、このハッピーオブジエンドの1巻、2巻がすべてを物語っています。個人的には、1巻は特に傑作だと思っております。(もちろん、皆さんが大好きなエスケープジャーニーも素晴らしいですが・・・。)
作品データ
ハッピー・オブ・ジ・エンド 2巻
おげれつたなか
刊行年月:2022/04.29
出版社:竹書房(Qpa)
どんなお話?
BL雑誌『Qpa』vol. 98((2020年1月24日配信)から連載がスタートしたおげれつたなか先生の人気シリーズです。2023年に無事完結で、全3巻リリースされました。
過去に何があったのか、ミステリアスな黒髪のケイトと、生きる気を失っていた千紘。幸せに恵まれない二人の葛藤と些細な日常の幸せが描かれた作品です。
2巻には、vol. 111(2021年2月24日)からvol. 122(2022年1月24日)まで連載されたお話が収録されております。2巻の終わり方もミステリアスになっており、1巻同様、1冊の本として、非常によくまとまっております。
巻によって雰囲気が全然違うこのシリーズですが、1巻の暗い悲壮感漂う雰囲気から一点、2巻は幸せ度がアップしています。お互いの気持ちを確かめ合い、正式に付き合うことになった二人。何気ない日常、会話、そして気持ちを確かめ合う。小さな幸せをしっかりと確かめ合っていく二人にじわりと迫る、ミステリアスな影ーーー。
カップリング
攻め:浩然(ハオレン:お互いの気持ちを確認し、何気ない日々の幸せをを知る)
受け:千紘(ハオレンの過去がゆっくりと見えてきた千紘。幸せを感じながら、ゆっくりと前へ進もうとするのだが・・・)
あらすじ
不思議な関係から始まった浩然と千紘。同居をすることになり、お互いの過去も話していくうちに、徐々に心の距離も縮まっていった二人。気持ちを確認し合い、恋人としてデートに繰り出す二人と、そこにある何気ない日常の幸せ。そんな幸せは彼らにとって全て初めてで、新鮮。
そんな毎日を送っていた二人の前に、マヤが現れる。マヤは浩然が最も恐る過去の人。マヤの不気味なアプローチに怯えながら、逃げるように暮らす浩然と、その魔の手が千紘に・・・。
おげれつたなか先生『ハッピー・オブ・ジ・エンド 』2巻のみどころ
作品の魅力1:浩然の過去
1巻で、ケイトの本名が浩然(ハオレン)ということを知りました。母親が亡くなり、その事実と生きる希望を失った浩然。しかし、知り合った千紘とのつながりで、自分も心のどこかに幸せを感じることができるのではないだろうか、と思います。
浩然と千紘は正式に付き合うことになるのだけど、2巻では、この二人のやりとりが微笑ましい。気持ちの表現方法をあまりわからない浩然は、自分をコントロールできなくなる描写がいくつもあります。1巻からもそうですが、主観的に行動する部分と、客観的に自分を抑制している部分が並行して存在している彼は、とにかく起伏が激しく、(良い意味でも悪い意味でも)どことなく奇行を繰り返します。
浩然の背景があまりにひどいため、千紘の葛藤はそれほど大きく感じませんが、彼なりにトラウマもあるんです。1巻では二人の背景が並行して表現されていましたが、2巻ではより浩然の過去、マヤとの危険な関係についてフォーカスされ、千紘が大きな闇に巻き込まれていく形で描かれています。
2巻は何気ない二人のやりとりが描かれているのだけど、二人の背景を1巻で知った私達読者は、ただただ何気ない二人の小さな幸せを観察しているような感覚。些細なことでちょっと喧嘩したり、今までにない感覚に襲われ、それがなんなのか、どう対処していくかをゆっくり模索するような浩然。千紘も、浩然の行動や過去をゆっくり知ろうとしていきます。読者は、胸が痛いですね。
作品の魅力2:何気ない日常の幸せ
まず、二人は「デート」をします。千紘はまだしも、おそらく浩然は今までしたことがないと思われる、ごく普通のデート。クリスマスにチキンやケーキを食べたり、イブはクリスマスと過ごすものなのか、とか、年越し、初詣など・・・。ごく普通の二人の日常を観察できます。
そんな彼らの微笑ましい普通な日々を見ていると、今自分が普段過ごしている何気ない時間に、感謝したくなってきます。私がお菓子を食べながら、漫画を読んでいる、この平和な時間がどんなに幸せなことか、昨今のひどいニュースも重なってか、そんなことを考えてしまったり・・・。(ちょっと暗いですね。)
彼らの絡み度は、幸せ度にも比例していきます。2巻では、ついに浩然が服を脱ぎます。このシーンで、1巻の冒頭にあった、千紘と浩然のやりとりの意味がわかるんです。浩然には服を脱げない理由があったんです。
絡みシーンは、彼らの心のメタファとして使われていて、服を脱ぐことは全てを曝け出すことであり、ゆっくりと浩然の心の奥に潜めていた秘密を千紘に打ち明けていきます。
…それにしてもこの二人、どん底だクズだというキャラ設定にはなっていますが、優しさはやっぱりあるんですよね。二人とも母親のことを「お母さん」と呼んだり、千紘は自分に好意を抱いてる女の子に申し訳なく思ったり。。。
こういった細かな描写も、おげれつ先生特有の表現方法で、必ずキャラにはどこかチグハグな部分があるんです。人間の、隠そうとしてもどうしても隠せない部分が、ふとした行動やセリフから見え隠れする。細かなキャラ設定や、普段からの人間観察をしていないとできないところだなと思います。
初詣に行く二人。ほのぼのとした中で、ハオレンは何を願ったのだろうーーーー。
おげれつたなか先生『ハッピー・オブ・ジ・エンド 』を今すぐ読む方法
おげれつたなか先生『ハッピー・オブ・ジ・エンド 』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
サンプルを今すぐチェックすることができます。
私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。(どちらのサイトにもサンプルがあります。)
どちらのサイトもBL作品の品揃えがよく、ほとんどの作品はサンプル立ち読みができます。また、無料で読めるBL作品がたくさんあります。
コミックシーモア:頻繁にクーポン割引があり、また同人誌や特典冊子の作品もたまに読めたりします。
Renta!:レビューを書くとスタンプがもらえる機能などあり。レンタルも豊富です。
ところで・・・「Renta!レンタ」には、実は電子のみでしか読めないおげれつ先生のレア作『恋が踊るニュータウン』の電子書籍があります。単話で2話まで出ております。おげれつ先生、続編描いてくれないかなぁ。
おげれつたなか先生『ハッピー・オブ・ジ・エンド』のドラマCD
以下、竹書房のオフィシャルPVです。(ドラマCDではありません。)
(キワどい描写がありますので、ご鑑賞時はくれぐれもご注意ください。)
おげれつたなか先生『ハッピー・オブ・ジ・エンド』をもっと楽しむ方法に、ドラマCDがあります。
ビジュアルや無声で訴えかけるシーンがたくさんあるおげ先生のこの作品、ドラマCDではどのように表現されているのか、すごく興味があります。
ドラマCDは2023年11月現在、2枚リリースされております。
どちらも在庫がまだあるようですので、興味のある方はぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
いかがでしたか。今回は、おげれつたなか先生の『ハッピー・オブ・ジ・エンド』2巻をご紹介しました。もっと自分が考察したポイントを聞いてほしいんですが(考察や見えているものは、読者それぞれ違うと思うので)、それは、何度も考察して、またいつの日かゆっくりとおしゃべりしようと思います。
全3巻ですが、巻ごとに雰囲気が違うため、今回は2巻をご紹介しました。
1巻、2巻はとにかく秀作・・・いや、傑作とも思える作品になっています。ぜひこの2冊だけでもゆっくり、じっくり読んで、考察してみませんか。私が見えていないところも山のようにあるかと思います。おげ先生、この作品のファンの方、ぜひ考察ポイントを教えていただけたらと思います。
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