こんにちは。
今回は、2023年11月2日にリリースされた、ナツメカズキ先生の4年ぶりの単行本となる『ヒズ・リトル・アンバー』をご紹介します。
もう、タイトルから、良い❤️❤️❤️
初回限定特装版(アニメイト限定セット)を購入しましたが、初回限定の小冊子やプリクラ風シールもかわいらしく、またアニメイト限定の小冊子やイラストも堪能させていただきました。
作品データ
ヒズ・リトル・アンバー 上下巻
ナツメカズキ
His Little Amber : Kazki Natsume
刊行年月:2023.11.10
出版社:光文社(BL comics)
どんなお話?
ナツメカズキ先生の初の上下巻コミックス。前作にあたる『バイ・マイ・サイド』から約4年ぶりのコミックです。現在は休刊となったオンラインBL雑誌『NUUDE』に連載されていたお話です。
上巻には、『NUUDE』vol. 1(2020年7月配信)からvol. 7(2021年7月)までのエピソード、また下巻には、『NUUDE』vol. 8(2021年9月)から2022年11月の単話配信に加えて、描き下ろしのラストエピソードが収録されております。
連載雑誌の休刊、また先生がデビュー以来お世話になっていた東京出版社(NUUDEもこの出版社の雑誌です)とのトラブルもあったようで、この単行本をリリース(こちらは光文社より出版されています)するまでに様々な環境の変化もあったようです。無事にリリースされ、いちファンとして、本当にうれしいです。
今までのナツメ先生の作品とはちょっと違い、ファンタジックでコミカルな内容になっています。が、ナツメ先生のあの切ない描写やストーリー展開は健在ですし、また本を開いて拝められる素敵なイラストにも、相変わらず惚れ惚れ・・・❤️
元ヤクザの源慈(げんじ)と、ある日彼が道で拾った獣・・・だったはずの琥士郎(こうしろう)のお話です。ナツメ先生の大人気『MODSシリーズ』に通じるところがあり、一条兄弟もカメオ出演していますが、物語の方向性や雰囲気は全く違っています。
ナツメ先生のコメントにもありますが、独立した作品として楽しめる作品になっています。
カップリング
攻め:源慈(げんじ:元ヤクザ 。一条組だった。足を洗った後は道具屋を営んでいる)
受け:琥士郎(こうしろう:源慈が拾ってきた獣・・・だったが、人間にも自在に変身できる不思議な存在)
あらすじ
1999年の大晦日、ふと街を歩いていた源慈は、怪我をした一匹の小さな獣を見つけた。猫のような、豹のような・・・その怯えているような獣を琥士郎(こうしろう)と名付けて5年の歳月がたち、琥士郎はすっかり成人へと成熟。なぜか人間にも変身できる謎の獣だったのだ。
何気ない日常を過ごしていく二人。そんなある日、琥士郎の体に少しずつ異変が起こる。それは、発情期なのか。たまに痛み出す琥士郎の背中は何を意味しているのか・・・。
ナツメカズキ先生『ヒズ・リトル・アンバー』のみどころ
個人的に、ナツメ先生の作品は今のところどれも大好きで、当然この作品も堪能しました。たくさん魅力があるため、まとめられません。w
今の段階で見えているおすすめポイントを、いくつか記載しますね。
作品の魅力1:ナツメ先生初?!のファンタジー
まさかナツメ先生がファンタジーを描かれるとは、驚きでした。
この単行本がリリースされるというニュースを聞き、速攻でお話のサンプルをチェックしたのですが、豹!?が人間になるなんて・・・。なぜナツメ先生は人外を描こうと思ったんだろう。それが最初の私の疑問でした。
実際に本を物語を読み進めると、実は琥士郎の正体は、豹に変身するだけではなく、しっかりその後のストーリー展開があり、このストーリー展開も興味深く拝読しました。
そしてそれに関係して、登場人物も増えていきます。そんな展開に関連する、魅せられる見開きページやイラストが物語を盛り上げてくれます。やはり、ナツメ先生の持つ世界観、光ってます。
ファンタジー路線は、先生が描きたかったものなのか、それとも連載していた雑誌のターゲットや方向性にあわせたのかはわかりません。でも、ナツメ先生にとってもチャレンジだったのではないでしょうか。
従来のファンの方の中には、なぜこの設定にする必要があったのか・・・と思われた方もいらっしゃるかも。私自身、ファンタジーはほとんど読まないため、あらすじを読んだ時は、私もシンプルに「なぜだろう」と思ったんです。(悪い意味ではなく、純粋な疑問として・・・。)
でも、設定はどうであれ、やっぱりナツメ先生のあのイラストや、切なそうなBL描写に惹かれるんですよ。読みたくなるんですよ。で、読んで、やっぱりよかったってなるんですよ。
ナツメ先生の作品は、商業作品しか読んだことがありませんが、この先生の魅力は、作品全体に漂う世界観だと思っています。そしてそれを表現するための画力。
バランスが、とてもいいんです。そして、1冊でしっかりと完結してくれる。
この作品でも、ナツメ先生の世界観をたっぷりと楽しませてくれます。
作品の魅力2:ナツメ先生自身のチャレンジ
作品の魅力の一つとして、ナツメカズキ先生のチャレンジそのものが楽しめました。
今までの作品は、どちらかというと、主人公カプの微妙な心理描写が描かれており、巻末に向けての盛り上がりが魅力でした。先生が設定した世界の中で繰り広げられる二人の世界。
しかし、今回の作品では、メイン二人のキャラ背景はまったく違います。年齢はもちろん、性格も、人間・非人間w も違います。サブキャラたちも豊富で、中年のオヤジたちから女性、琥士郎の幼少期(子供)や豹など、とにかく描写が盛りだくさん。肌の色や髪型、目も描き分けています。それに加えて、MODSシリーズからの一条兄弟がカメオ出演したり・・・。
先生が今まで作り上げてきた世界観と、今回の新しい世界観をクロスオーバーさせながらも、ゆっくりと新しい方向へシフトしていく感じがしました。
この世界観は、好き嫌いはありそうですが、これはもう時代・読者ターゲットの変化なのかなと思っています。
明らかに挑戦的で、作品のスケールも今までとは全く違った大きなスケールになっています。
子供のようにやんちゃな琥士郎は動物的。源慈に愛を感じているところはまさに動物的感覚。人生を悟ったかのような源慈は、過去にトラウマがあり、物静かで無愛想。コンストラストのある二人のキャラ設定も面白く、この二人が一体どうやってBL展開していくんだ、と、ずっとワクワクしながら読み続けたのは、私だけでしょうか!?w
少しだけ登場する琥士郎の仕事仲間はごく普通(普通か?)のにいちゃんたちだし、源慈は元ヤクザ(一条組)ということもあり、今までナツメ先生が描かれていた作品に通じる雰囲気も残っています。ただ、源慈の知人のオヤジたちや、琥士郎の過去に関連するキャラたちはユニークに描写されているため、やはり方向性としては、今までとは違います。
本のそで(フラップ)部分に、「シリーズの片隅で、こんな男達がこっそり生きていてもいいかな・・・?」という先生のコメントがありました。
この作品を読んで、ナツメ先生の漫画家としての変化(チャレンジ精神)がすごく頼もしく感じました。BLは単行本がリリースされるまでにすごく時間がかかるし、読者の変化も早いと思います。同じ世界観を描き続けるのも素敵ですが、私はナツメカズキ先生の漫画家としての多面性をもっともっと見てみたかったので、今回のチャレンジは個人的に楽しみました。
作品の魅力3:絡み
ナツメカズキ先生の絡みシーンは、いつも好きです。ページ数が多かろうが少なかろうが、とにかく好きです。キスシーンも大好きです。この先生のラブシーンには、行為だけでは収まらないパッションが溢れています。
でもね・・・
私が一番大好きだった「ぴとっ」が、ないんですよぅーーーー!😳
あれが私の一番の萌えポイントだったといっても過言ではないんですが、「ぴとっ」がなくなってしまいました・・・。w
そこだけはちょっと残念でしたが、無事にラストでは源慈と琥士郎が結ばれます。そこにある緊張感やパッションが、ひしひしと伝わってきました。
あれ・・・そういえば、何の迷いもなく(本人たちも、私も)、琥士郎が受けになってるところ、ウケた。😂
作品の魅力4:ナツメカズキ先生の画力
先生のキャラの画力は、デビュー当時の作品から一貫して素晴らしいです。特に20、30代の男性が魅力的で、イラストの構図も素晴らしい。正直、先生のカラーイラストをまとめて「B5」サイズのファンブックを作っていただきたいです。
今回の作品は、絵柄にも少し変化がありました。主人公の源慈が少し筋肉質でガタイが大きかったですね。そこに加えてオーバーサイズなファッションが流行の今なので、かなり大きな感じがありました。
そもそもナツメ先生の絵柄は、今までもそうですが、全コマ完璧ではありません。不安定なところも、昔からありますよね。線画の具合も、前作の『バイ・マイ・サイド』から変化があったかなと思います。デジタルになった今、どのペンで、どれくらいのペンの太さで描くか、タッチそのものなども含めて、その作家さんのオリジナリティになります。
作品の魅力5:小冊子も読むべし
今回の単行本リリースに伴い、描き下ろしのリーフレットがいろいろと出ております。
なくなり次第終了の特典たちですので、まだ在庫のあるうちにチェックしてみてください。
初回限定特装版の20P小冊子
うれしいことに、この小冊子は電子でも読むことができます。琥士郎の幼少期のお話で、かわいらしく描かれていますが、ポイントは源慈の指輪の小話。
冊子そのもののデザインも素敵で、紙もピンクです。本編以外にも漫画が読めることの喜びもありますが、デザインやイラストにも興味のある方、ファンの方は、やっぱり紙でコレクションするといいかと思いますし、こういうおまけを含めた世界観が楽しめます。
アニメイト限定8Pリーフレット
私はこちらを購入しました。8Pといっても実質6Pなんですが、それでも楽しめます。源慈がどんどん琥士郎にハマっていってるのが、とても面白かったです。w
コミコミスタジオ限定4Pリーフレット
コミコミスタジオさん限定のお話。上下巻同時購入でもらえます。こちらのお話は、本編を読まれた後に読むのがいいかと思います。
とらのあな限定4Pリーフレット
とらのあなさん限定のお話。上下巻同時購入でもらえるようです。こちらは未読なので、内容はわかりませんが、とらのあなさんは、有償ですが収納BOXの特典もありますね。
本編にも描き下ろしのおまけ漫画が収録されていますが、せっかく購入するのであれば、ぜひ特典リーフレットもチェックしてみていはいかがでしょうか。
気になった点
ナツメ先生の作品を全て読んだ上で、私の感想として、この作品には大変満足しました。
しかしながら、あえて、気になった点を絞り出し、記載しておこうと思います。
時代の変化
人外、さらには子供(幼少期)が登場する時点で、BL業界の変化を感じざるを得ませんでした。ナツメ先生の作品というよりも、BL業界に対する感想です。
赤ちゃん、子供、小動物・・・誰が見ても「かわいい」「愛らしい」ものが出てくると、個人的には、BL・非BLに限らず、危機感のようなものを感じます。w 漫画業界自体、ミニキャラに溢れており、絵柄もどんどんと若くなっていく・・・。
個人的に、こういう心理マーケティングが増えてくると、業界の先が心配になります。
「完結」のその後。
この作品は、上下巻でしっかりとまとめてくれて、本当に感謝です。モヤモヤした気持ちも残りませんでした。続きが見たくなる気持ちはわかるけど、その思いを胸にしまっておくのが、漫画の読み方だと思っていました。
でも、最近は違います。続いちゃうんですよ。(まぁまたマーケティングの話になってしまいますが。。。)
この終わりのないループ。
シリーズがどんどん続き、やめ時を見極めないと、描く方も読む方も、息切れが生じる。
このナツメ先生の作品はもちろん続きも描ける作品だとは思います。が、個人的にはここで完結してほしいです。限られた時間、もっとナツメ先生のいろんな世界観を読んでみたいな、と思っています。
ナツメカズキ先生『ヒズ・リトル・アンバー』を今すぐ読む方法
ナツメカズキ先生『ヒズ・リトル・アンバー』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
サンプルを今すぐチェックすることができます。
私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。(どちらのサイトにもサンプルがあります。)
どちらのサイトもBL作品の品揃えがよく、ほとんどの作品はサンプル立ち読みができます。また、無料で読めるBL作品がたくさんあります。
コミックシーモア:頻繁にクーポン割引があり、また同人誌や特典冊子の作品もたまに読めたりします。
Renta!:レビューを書くとスタンプがもらえる機能などあり。レンタルも豊富です。
うれしいことに、初回限定特装版についている20P小冊子が、電子でも読むことができます。このお話は、源慈の指輪のお話。読まれる方は、本編を読んでから読んだ方が、分かりやすいと思います。
電子は白黒ですが、紙本の小冊子は紙がピンクで、とってもかわいらしいんです!BLものは再販はほぼないので、ファンの方は、ぜひ紙で〜。
まとめ
今回は、久しぶりのコミックとなったナツメカズキ先生の『ヒズ・リトル・アンバー』をご紹介しました。
ナツメカズキ先生は、画業活動は長いのですが、商業作品はまだ数えるほどしか出ておりません。全作品チェックするチャンスです。これを機に、チェックしてみてはいかがかと思います。
リリースされたばかりですので、もう少し落ち着いたら、また感想をおしゃべりしようと思っています。みなさんの感想も教えてください。
また、ナツメ先生のお仕事の環境も落ち着いたことを願っております。しっかりと安心した環境で、創作活動を続けていかれること心から願っています。これからも先生の素敵な作品が読めることを楽しみにしています。
ナツメカズキ先生、単行本リリース、おめでとうございます。
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