はらだ先生『にいちゃん』の正常性と異常性

はらだ
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作品データ

にいちゃん

はらだ

刊行年月:2017.05.10

出版社:プランタン出版(Canna Comics)


どんな作品?

はらだ先生が、雑誌『Canna』で発表していたシリーズが1冊にまとまった問題作にして秀作。

はらだ先生はハッピーでかなりえちぃ作品が話題になりがちですが、個人的にはこういったダークな作品の方が、先生にしか描けない魅力が窺えると思っています。

心理描写、画力、すべての描き方がオリジナリティあふれており、物語の作り方もすごく魅力がある。映画にも通ずる物語の作り込み具合で、深い心理描写がほどこされています。

この作品は、大人の方で内容に理解のある方にオススメです。

この作品は年齢制限はありませんが、R18をおススメします。
連載経緯

この作品の連載経緯はよくわかりませんが、第1話は8ページほど、そして第2話は6か月後になってました。そして第3話は2年後。たまたまなのか、何か先生か雑誌社のスケジュールかはわかりませんが、長年にわたって温められたお話のようですね。

登場人物

ゆい(子供の頃にトラウマができる)

にいちゃん(景。幼少期にトラウマがあり。家族からの圧力あり。)

まいこ(ゆいの女の友人。彼女にも秘密がある。)

はらだ先生『にいちゃん』のみどころ

この作品は、かなり作り込まれた作品です。また、ダークな作品。ショタものであり、強引なシーンもあります。また崩壊した家庭環境など、いろいろな闇が描かれた作品です。みどころはたくさんありますが、いわゆる「地雷」のある方は、お気をつけください。

以下、少しネタバレを含みますのでご注意ください。

作品の魅力1:ゆいの変愛

第1話はほんの8ページほどのお話。ここで話の方向性が読み取れた感じがしていました。しかし第2話に読み進めると、やっぱりそっちか… 見たくないな… と思いつつ、…あれ?なんか、違うぞ?どこか、ずれてるぞ?っとなっていきます。

にいちゃんがヤバイやつと思っていたら、実はどちらもヤバイやつでした。どちらかというと、ゆいのほうが歪んでいるかも。w

にいちゃんのほうは、幼少期にトラウマを持っており、それが彼のその後に影響しております。

また、ゆいの方も、自分の中の特別な感情が一般的なものではないため、世間と自分とのはざまをどのように生きていくのか、不安定な感じが描かれております。

ゆいのにいちゃんに対する思いは「好き」という気持ちであり、それは世間から求められているものとは違う。相手が男だから、そして自分はまだ子供だから。

確信的な気持ちでも、子供というだけで愛は貫けないのか。

人と違うのは「異常」なのか。

また、線引きをしているのは法律というだけ?

ゆいは、知人の女の子、まいを通じて、バランスをとっていきます。

作品の魅力2:反転していくストーリー展開

冒頭のエピを読むと、立場がわかりやすい。にいちゃんとゆい。にいちゃんは加害者、ゆいは被害者。それだけでも痛々しい話なのだけど…。話が進むにつれて、ゆっくりとそれが反転していきます。

にいちゃんの過去、そして家族からの圧力などさまざまな要因が彼を追い込んでいきます。彼は加害者なんだけど、本当に彼だけが悪者なのか。周りからの影響はどのように彼を変えていったのか。

一方ゆいは、被害者。しかし、子供の頃から彼の思いは、ある意味一貫している。それはにいちゃんへの「好き」という気持ち。その気持ちをどうやってにいちゃんに証明したらいいのか、試行錯誤します。

にいちゃんの気持ちが自分とは違うこと、家族など世間の考えと自分は違うこと、そういった「違い」を切り離せばいいのだ、と信じるのだけど、若いということもあってか、不安定な描写で描かれています。

最後の書き下ろしを見ても、ゆいの心にはまだ迷いがあり、自分の気持ちに自信がもてない。

いろんな意味でマイノリティとしてのアイデンティティをどうやって保つのか、考えさせられます。

愛を証明できればなんとかなるって

頭おかしくなってたんだ

引用:はらだ『にいちゃん』,2017

にいちゃんが幼少期に思っていた疑問。

時を経て、ゆいがにいちゃんに対してその疑問をぶつけてきます。

作品の魅力3:正常、異常の定義

にいちゃんの幼少期のトラウマが彼を変えてしまった、とされています。

しかし、にいちゃんの癖(へき)は幼少期の経験からなのか、それとも、もともと彼にはその気持ちがあったのか、わかりません。

周りの大人や両親はそれを「異常」として、正常にしようとさまざまな「躾」をします。でも、そのしつけこそ異常ではないか。私たちが普通、正常と思っていることは、本当に正しいですか。

マジョリティが「正しい」とは限らない、ということを考えさせられる作品です。

また異常とするものに、なぜそうなったのか、原因、理由がある可能性も。

社会的には法律で白黒をつけることができる。でも、内情を知っている両親はどうだろうか。誰もが持っている異常な心の闇、そしてなにが正常で何が異常か。

複雑な人間関係やそれぞれの立場から、何が正常で何が異常なのかを定義づけるのは、実は非常に難しいことだというのを考えさせられます。

はらだ先生『にいちゃん』を今すぐ読む方法

はらだ先生『にいちゃん』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。

最初の数ページをサンプルで今すぐ読むことができます。

私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「Renta!レンタ」です。(どちらのサイトもサンプルがあります。)どちらのサイトもBL作品の品揃えがよく、ほとんどの作品はサンプル立ち読みができます。また、無料で読めるBL作品がたくさんあります。

コミックシーモアは頻繁にクーポン割引あり。

Renta!は、レビューを書くとスタンプがもらえる機能などあり。

最後に、DLsiteがるまに さんのサイトです。

ここには、電子書籍だけでなくドラマCDもすぐに聞くことができます。ドラマCDを聞くことができるサイトは非常に少ないので、オーディオドラマファンの人には人気のあるサイトです。ただ、同人誌系も扱っているため、サイト内を検索する際は、きわどい画像等にご注意ください。w

ほとんどのドラマCD(オーディオDL)は無料サンプルがあるので、本当に便利です。

はらだ先生の『にいちゃん』を漫画以外で楽しむ方法

はらだ先生の『にいちゃん』は、ドラマCDになっています。

この作品がドラマCDになるとは、興味深いですね。どうやってオーディオで表現されているか、興味ありませんか?

CD媒体とオーディオDLで聞くことができます。

CDプレイヤーがあれば、CDをチェック。

オーディオは、私が調べた限り、2つのサイトで視聴が可能です。オススメは、サンプルが聞けて、BL作品の品揃えが豊富なDLsiteがるまにさんのサイトです。

声優さん:加藤将之(景) / ゆい → 斉藤壮馬(ゆい)

サイト1:DLsiteがるまに のサイト

DLiteがるまに さんは、BLやTLなどの品揃えが豊富です。電子書籍、ドラマCDはもちろん、オリジナルの作品やこのサイトのみで視聴・購読可能なBL作品などもあります。

同人誌も扱っているため、きわどい画像などもありますので、サイト内を検索する際はお気をつけください。

ぜひ無料サンプルを聞いてみてください。景とゆいの声、いかがでしょうか。

私は、加藤さんの声(景)が自分の思っていた感じと似ていたので、とても物語がすっと入ってきました。

サイト2:アニメイト のサイト

アニメイトさんでもデータ販売しております。購入後にシリアルナンバーなどのやりとりがあるため、正直面倒です。サンプルもありません。

【データ販売】にいちゃん(ドラマCD音声)

まとめ:はらだ先生はやはり鬼才

ストーリーが過激なため、そちらに目が行きがちですが、個人的にはかなり奥の深い作品だと思います。考えさせられるメッセージもたっぷり入ってます。

しかし考えさせられるポイントは読者によって違ってくるのと、先生が意図したメッセージなのかどうかはわかりません。

間違いなく言えるのは、この作品ははらだ先生の作品でも代表作だと思いますので、はらだ先生を知る上で読むべき作品ではないでしょうか。

かなり重い内容のため、全ての方にオススメすることができません。読む場合は、あらすじや無料サンプルなどでしっかり確認した上で、チャンレジしてみてはいかがかと思います。

この作品に年齢制限はありませんが、R18でお願いします。

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