こんにちは。
今日は、おげれつたなか先生の1巻完結『恋愛ルビの正しいふりかた』から、『ほどける怪物』をご紹介します。
作品データ
恋愛ルビの正しいふりかた
おげれつたなか
刊行年月:2015.05.11
出版社:新書館(ディアプラスコミックス)
どんな作品?
センスいいタイトルに惹かれる、おげれつ先生の3冊目のコミックス。
タイトル作は、高校時代いじめられた同級生と急に再会し、復讐を狙う主人公の話。
『ほどける怪物』は、前作コミックス『錆びた夜でも恋は囁く』で弓に暴力を振るっていた、かんちゃんのお話です。
どちらも複雑な心情が描かれていて、奥深い作品。何度読んでも飽きないし、何度も読まないと理解するのが難しい中級BL作品。
今回は、後半に収録されている『ほどける怪物』をご紹介します。
この作品は、おげれつ先生の2冊目のコミックス『錆びた夜でも恋は囁く』に登場した弓の元カレ、かんちゃんこと林田が主人公。この後の4冊目のコミックスにもつながっていくキャラになります。
カップリング
攻め:秀那(しゅうな。女子にも人気で、チャラいというイメージ)
受け:林田(かんちゃん。元カレにDVをしていたことがトラウマ )
あらすじ
物語は、林田の視点で語られています。
林田(はやしだ)は、ふとしたことから、会社の後輩、秀那とセフレになった。しかし秀那は徐々に林田のことがそれ以上に気になり始め、自分の気持ちを伝える。
林田も自分の中で少しずつ気持ちの揺れがあるのだけど、どうしてもそれ以上の関係になることは許されない。
なぜなら林田は、元カレにDVをしていた過去を持つから。きっと付き合ったら、相手を傷つけて、終わってしまう。自分の気持ちを抑えようにも、秀那を失うのが怖くなり、ついにーーー。
おげれつたなか先生『ほどける怪物』のみどころ
この物語は、後に続きが出ていることからもわかるように、非常にキャラが掘り下げられたお話です。お話の奥深さはもちろんのこと、DVという社会的問題にも向き合い、考えることになります。さらっと読んでもいいですし、社会問題を考える一つのきっかけにもなるお話です。
作品の魅力1:等身大のキャラ、ふたたび。
おげれつ先生の魅力の一つが、飾らないキャラ。
林田のキャラはDV体質もあり、仏頂面。ちょっとつり目で、決してイケメンではないんです。先生はイケメン雰囲気のキャラも描けるのだけど、あえてメインキャラにそれを持ってこないところが、興味深い。
顔を見ると大体その人の性格がわかると言われますが、まさにその通り。林田は心の奥に闇を抱えています。元カレを殴っていたという事実、そしてそれに対する罪悪感や自分への恐怖。
そういったネガティブなものが仏頂面に現れているだろうし、会社の後輩に強くあたるところからも見受けられる。
秀那の気持ちを知ることで、徐々に自分の別の気持ちが解放されていきます。
恥ずかしい時にどういう顔をしているのかわからない。
どうやって感情を隠していいのか忘れてしまっていた。
そんな描写が彼の心の揺れ、そしてある意味恐怖も表している。
昔彼にあった感覚が少しずつ戻ってくるのがわかります。
飾らないキャラではあるけど、本人は自分の内面を隠そうと取り繕ってます。それもおげれつ先生のキャラの特徴かもしれません。
秀那の方もいいキャラなんですが、今回のお話では彼側の視点はほぼ描かれていません。ただ、冒頭から終始ニコニコしている秀那は、おそらく彼も自分の内に何らかの闇か葛藤があって、それを取り繕っているではないかと思います。
林田への気持ちは伝えるのだけど、駆け引きをしてみたり、離れようとしてみたり、彼なりに試行錯誤しているのが分かります。女性にも人気があるようなので、イケメンキャラですね。w
作品の魅力2:林田の葛藤と過去のつながり
本編からはわかりにくいですが、本の後ろにあるあらすじを読むと、林田は『恋愛ルビの正しいふりかた』の夏生と同じ高校だったという設定。そういえばチラッと夏生の学生時代のシーンがあったけど(せっせと読み返した)、あそこにいた茶髪!?が林田だったんですね~。w
そして、林田の部屋に貼ってある学生時代の写真。この写真、見覚えありますよね!?おげれつ先生の2冊目のコミックス『錆びた夜でも恋は囁く』で、弓がDVされていた元カレ、かんちゃん。それがこの林田です。順を追って読んでいくと、余計に物語に飲み込まれていきますね。
弓にしていたひどいDV。なぜ林田がDVすることになってしまったのか、少しだけこの物語でわかります。
そして面白いのは、そういえばあの物語では弓が受けだったと思うんですが、今回の物語では林田が受けになっているところ。
きっと、もっと気付いていない面白ポイントもあるんだと思います。こういった詳細を探るのもBLの楽しみの一つなんですね。
作品の魅力3:なぜか、エッチです。
これまでの先生の作品は、絡みシーンはありましたが、ユニークではあるにせよ、度肝を抜いた激しいものはなかったかと思います。でも今回のこの林田…すっごくえちぃです。w
ひぃ~、びっくり!
どうした?
葛藤は、いずこ?
というか、葛藤しながらすんごいことしてて、頭が混乱しました。w
でもやっぱりこれも、おげれつ先生のキャラ設定の魅力なんですね。
キャラ設定が、よくいえばユニーク、悪く言えばチグハグな感じ。でもこのチグハグ感、人間くささを出してます。だって、誰でも型どおりに動かないでしょ?取り繕っても絶対どこかで自分の本質が出てくるものでしょ?恋愛だったら、それを含めて好きって思えるかどうかですよね。
とりあえず、こんなえちぃ林田ですが、秀那は大好きなようです。よかった。w
一緒になっていろいろプレイを楽しんでいる二人。もともとはセフレからスタートしていますが、その始まりも、やはりお酒を飲んだ林田の行動から始まっています。そういえば、秀那ってゲイではないですね。あるコマに「人生初っすわ・・・」ってあったけど、それって男性と寝たのがってことですよね!?
そして描き下ろしの「monster sugar」でも、またえちぃことしてます。w
この二人は本当に… えちぃ… 。
おげれつたなか先生の『ほどける怪物』を今すぐ読む方法
おげれつたなか先生の『ほどける怪物』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
コミックス『恋愛ルビの正しいふりかた』に収録されているお話なので、コミックス最初の数ページを無料サンプルは読むことができます。
私がよく利用する電子書籍サイトは「コミックシーモア」かレンタル本が豊富な「
Renta!レンタ」です。(どちらのサイトにもサンプルがあります。)どちらのサイトもBL作品の品揃えがよく、ほとんどの作品はサンプル立ち読みができます。また、無料で読めるBL作品がたくさんあります。
コミックシーモアは頻繁にクーポン割引あり。
Renta!は、レビューを書くとスタンプがもらえる機能などあり。
ところで・・・「Renta!レンタ」には、実は電子のみでしか読めないおげれつ先生のレア作『恋が踊るニュータウン』の電子書籍があります。単話で2話まで出ております。おげれつ先生、続編描いてくれないかなぁ。
おげれつたなか先生の『ほどける怪物』をもっと楽しむ方法
『ほどける怪物』は、『恋愛ルビの正しいふりかた』に収録されております。
なんとこの2つのお話を漫画以外で楽しむ方法があります。
ドラマCD
です。
この作品のドラマCDがリリースされております。私は意外と『恋愛ルビ〜』のタイトル作も好きなので、夏生がオーディオドラマでどんな風になっているか気になります。しかも、声優さんたちも豪華ですよ。
コミコミスタジオさんに在庫があるようです。
声優さんには詳しくはありませんが、座裏屋先生の作品で聞いた方もいるので。
残念ながら、オーディオDLは、今現在ありません。
『ほどける怪物』のコレクターアイテムあり
おげれつ先生のファンの方に朗報です。この怪物シリーズには、
『ほどける怪物』Cheri+ シェリプラス 2015 アキ号 付録 CD
というのがあります。コミックスの巻末に収録されていた『monster sugar』を音声化したものです。でもあれ、結構ラブラブでしたが、大丈夫でしょうか… 。
これは、コレクターには探し甲斐のあるアイテムではないでしょうか。☺️
まとめ
この作品、心情描写が好きな方にはおすすめの作品です。
私は心理描写が大好きなのですが、えちぃ描写にはそれほど興味がなく… でも、この作品を読んで、いろいろ勉強になりました。こういう描写も作品の魅力になるっていうことを学んだからです。
シリアスさの中にも絡みシーンでくすっと笑いをいれて緩急をつけるところ、すばらしいなぁ~。こういうのを萌えっていうのかな?
ということで、おげれつたなか先生、BLファンは誰もが読んだことがあると言っても過言ではありませんが、私もやっとその仲間入りになりました。
まだ未読の方は、今すぐ読んでみてください。
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