こんにちは。今日は、はらだ先生の『ネガ』をご紹介します。
こちらはハッピー系の短編を集めた『ポジ』と同時リリースされた作品。ポジティブ系ネガティブ系かと思ったら、カメラ用語のポジとネガなのかな。
帯付きの本を見ると、白黒の反転が見えるので、それが窺えるおしゃれなデザイン。
できれば『ポジ』『ネガ』一緒に読むことをオススメします。
また、帯付きの紙書籍だと、よりクールなデザインです。
作品データ
ネガ
はらだ
刊行年月:2016.04.30
出版社 竹書房
どんな作品?
2014~2016年に描かれた読み切りを集めた短編集。ダウナー系のお話を集めております。激しい絡みシーンや少しハッピー系の作品もありますが、こちらはかなり心情描写のあるお話が集められており、いろんな考察ができる奥行きのある短編集です。
これだけ幅広くアイディアやネタを描けるのは、はらだ先生だから。先生の想像力になんとも脱帽です。
はらだ先生の『ネガ』:ネタバレ注意!?感想・レビュー
6つのお話が収録されております。少し覗いてみましょう。
ストーリー01:後悔の海
幼なじみ男子3人のお話。
驚くべきことに、めっちゃ濃い内容なのに、3人の名前が出てこないんです。w
仮に、A君、B君、C君としましょう。で、このエピは、主にA君とB君のお話。
中学まで一緒だった3人が、別々の高校に進学することになります。ここで、一人の男の子(受けのA君)がB君へ告白するところから物語は始まります。B君は、男子に告白されて受け入れることはできないのだけど、その背景には巧妙なもう一人の男子(C君)の策略もありーーーー。
物語は、B君目線で語られてます。若い時の「好き」の気持ちの不安定さ、B君の弱さなどの気持ちが描かれた作品で、駆け引きを絡めた心情描写が読み応えあり。
B君はA君の気持ちを受け入れなかったのだけど、A君にはずっと自分を好きでいてほしいーーー。
自分勝手というか、弱さの表れではないでしょうか。
方言が使われているのも、切なさを倍増させます。
というか、はらだ先生の作品なのに、絡みがでてこない!w
ストーリー02:スイメンカ
『後悔の海』のもう一つのお話。
B君に告白した男の子(受けのA君)と、3人目の男子(C君)。実はC君はA君を昔からずっと好きだった。A君の初恋が残ったまま付き合うことになった二人。C君は嫉妬、そして罪悪感に悩まされる。幸せの瞬間も、常に罪悪感と紙一重なのがなんとも切ない…。
A君の初恋は純粋なんです。
C君の恋心は、想いが強すぎて、独占欲や嫉妬があり、結局A君、B君の二人を傷つけることになる。
ただ、A君の気持ちは尊重した(Aに告白させた)のだけど、策略したところはC君の弱さがあるのかな。
二人の関係は大学まで続いているのだけど、作中、A君が「好き」というシーンはないところに、C君の虚しさが強調されます。
また絡みシーンはメタファーとして使われており、強い想いのあるC君と、まだ心がどこか違うところにあるA君の二人の気持ちのズレが表現されているのも、すごくいい。
ストーリー03:ピアスホール
いろんなピアスについて勉強できる、知識系のお話。w
主人公 x リーマンの臼井さん
マッサージ店員の主人公の語りで物語は進んでいきます。ごく普通の臼井さんは、体の見えないところに、いろいろなピアスがある。主人公の好奇心なのか、臼井の策略なのか、ピアスを通してお互いに依存していきます。
ピアスを開ける人の心理。臼井は痛みフェチ、主人公は金属に萌えるのか、はたまた臼井への熱なのか…。
人間の内と外の姿のギャップを綺麗に描いているユニークな作品。
Rシーンを介して心情の揺れが描かれています。
ストーリー04:リスタート
お互いを好きなくせに、自分を偽り、結局気持ちを伝えられなかった両片思いの話。
ありそうなお話だけど、「設定」がなんともはらだ先生らしいというか、なんでそんなタイとかトゥクトゥクとか出てくるのって感じ。w
ただ、マイノリティをステータスだと思う気持ち、ここには少し批判も入っているのだろうか。本気になってなんぼでしょっていう先生のメッセージがあるのかな?
黒と白の色のコントラストが表現されているところも、本音と偽り、ポジとネガ、すべては対(つい)になっているという道理。
ストーリー05:リスタート/ミキ
6ページの描き下ろし。ミキの視点から描かれているのだけど、これを読むと、ミキはアホなんだけど、より二人の片想いさが伝わってきます。文字にも注目してください。
ストーリー06:わたしたちはバイプレイヤー
このお話はちょっと視点が変わって、女の子が出てくる。「女子BL」というアンソロジー向けに描かれた作品。女の子視点で描かれたBLで、主人公も女の子。
ある日ひょんなことから男の子と体が入れ替わり・・・ってそんなベタな展開って。。。って思うんですが、そこははらだ先生。安心してください。ちゃんとしっかりしたオチがあります。
このオチ、読んでみたくないですか?これだけでも読む価値あります。
そしてコマを観察すると、面白い描写もちらほら。w
ちなみにこのアンソロジー、他の先生のも読んでみたいな。
『女子BL』はコミックスになっているので、そちらもチェックですね。
はらだ先生の『ネガ』を今すぐ読む方法
はらだ先生の『ネガ』を今すぐ読む方法は、電子書籍です。
最初の数ページをサンプルで今すぐ読むことができます。
私がよく利用する電子書籍サイトは「ebook japan」かレンタル本が豊富な「
Renta!レンタ」です。(どちらのサイトにもサンプルがあります。)どちらのサイトもBL作品の品揃えがよく、ほとんどの作品はサンプル立ち読みができます。また、無料で読めるBL作品がたくさんあります。
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この本、私は紙書籍が好きです。白の表紙なんですが、帯つきですと、帯の部分が黒になっております。ネガとポジ、白と黒のコントラストがおしゃれなデザイン。もし紙書籍を購入される場合は、セットで購入または「帯付き」をオススメいたします。
まとめ
それほど分厚い本ではないにせよ、たっぷりと楽しませてくれた短編集。
個人的には冒頭の2話が大好きで、考察しがいのある作品でした。
また、セットリリースとなった『ポジ』の方は、相変わらずハッピー系の作品が収録されておりますが、そちらもチェックすることで、はらだ先生のアイディアの豊富さ、そしてそれを作品として実現する力にも学ぶところがあります。
ぜひ読んでみてください。
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